羽田美智子のいってらっしゃい

2020.11.06

2020年11月2日(月)

お店で食べるのはモチロン、ご家庭で作ったり、

コンビニでも人気商品の1つ『おでん』についてです。

 

■今週(11/2~11/6)のテーマ:『おでん』

 

11/2(月)  『おでんとは』

 

串に刺したお豆腐に、お味噌をつけて焼いたお料理に

『田楽豆腐(でんがくどうふ)』があります。

略して『田楽』とも呼ばれています。

お豆腐の他に、里芋やコンニャクを使ったものも

『田楽』といいますが、元々は田楽=お豆腐なんだそうです。

 

『田楽』は室町時代の頃に既にあったといわれていますが、

おでんのルーツはこの『田楽』だとされています。

 

『おでん』という名前の語源ですが、

『田楽』に丁寧言葉の『お』を付けて『お田楽』になって、それが略されて

『おでん』になったというのが通説とされているそうです。

 

そうなると現在のように“煮込んであるおでん”は、

いつ頃登場したのでしょうか? 

江戸時代後半、現在の千葉県銚子や野田でお醤油造りが盛んになって、

お醤油味の煮込みおでんが生まれた・・というのが

定説とされているそうです。

 

しかし、この当時の“煮込みおでん”とは串に刺した里芋や

コンニャクをお湯で煮て、味噌だれを塗ったものを指していて、

お醤油のつゆで煮込んだおでんはこの時代はまだ無かった・・

という説もあるそうです。

 

いずれにしても幕末から明治時代には、

お醤油の汁で煮込んだおでんがあったことは間違いないそうです。

 

なるほど。おでんという名前が当たり前すぎて、

何でおでんというのか?考えもしませんでしたが、

田楽から来たんですネ。

おでんが恋しい季節になってきましたネ。

 

 

11/3(火)  『おでんの歴史』

 

明治時代、現在のような“お醤油の汁で煮込んだおでん”が

東京で定着するようになりましたが、大正時代になると

関西にも伝わったとされています。

 

東京の料理人によって大阪に持ち込まれた煮込みおでんは、

味噌だれのおでんの『田楽』と区別して、

『関東煮(かんとだき)』と呼ばれるようになりました。

最初は『かんとうだき』と呼んでいたのが、

『かんとだき』になったそうです。

関西では“煮る”ことを“炊く”といいますが、

同じように『かんとだき』と呼んでいるそうです。

 

そんな『関東煮』ですが、

その後、様々な工夫や改良がされていきます。

そして1923年(大正12年)、関東大震災によって

東京を中心に大きな被害が出た時、関西からたくさんの料理人が

東京に駆けつけて、炊き出しとして被災者の方々に

ふるまったとされています。

つまり、東京で生まれたおでんが大阪で進化して、

再び東京に戻って来たことになります。

 

こうした『関東風のおでん』と『関東煮』の違いですが、

1つは味付けです。

関東風は、濃口醤油とかつお節。

関東煮は、薄口醤油とかつお節をベースにして味付けします。

 

おでんのルーツは関東から始まったんですネ。

私は関東の生まれなので、

お醤油ベースのおでんはモチロン好きなんですが、

関西のお出汁が効いた薄口のおでんも大好きです。

おでんはどんどん進化しているんですネ。

 

 

11/4(水)  『関東と関西のおでんの違い』

 

使うお醤油が『濃口』と『薄口』以外にも、

関東風と関西風のおでんの大きな違いが『具』です。

関東風のおでんの具の代表的なものといえば、

ちくわぶやはんぺん、つみれ、すじ・・などです。

 

この中でもちくわぶは、関東以外の方は馴染みがないかも知れませんネ。

説明しますと、小麦粉にお水とお塩を加えて練ったものです。

真ん中はちくわのように穴が開いていて、

外側は歯車のようにギザギザしています。

 

はんぺんも、東日本では使われることが多いですが、

西日本ではあまり馴染みがないそうです。

 

すじとは『すじかまぼこ』のことで、

サメの軟骨などを使った練り物です。

同じ『すじ』でも関西では、『牛すじ』のことをいいます。

 

関西風のおでんには、この牛すじやタコが欠かせないそうです。

また関西では、クジラを食べることが多かったことから、

おでんにも使われるそうです。

例えば『さえずり』。クジラの舌の部分です。

フワフワで弾力があって、クジラの濃厚な味がずっと続くそうです。

 

そして『コロ』。

クジラの皮の部分を油で揚げて乾燥させたものです。

それを柔らかくするために、煮込んで仕上げます。

淡白な味わいながら、プルプルふわふわした食感が

楽しいそうです。

 

同じ『すじ』でも関東と関西では、全然違うものなんですネ。

私はサメもほとんど食べたことがないですし、

こうなったら日本全国のおでんを食べ比べてみたいものです。

 

 

11/5(木)  『静岡おでん』

 

静岡おでんは静岡の方にとってのソウルフードで、

地元では『しぞーかおでん』と呼ばれているそうです。

大正時代、戦後の食糧難の時、それまで処分していた牛スジや

豚モツを材料として煮込んだことで広まったともいわれています。

 

静岡おでんには“五ヶ条”と呼ばれる5つの特徴があります。

その① 『黒はんぺんが入っている』。

黒はんぺんとは、サバとイワシを使った練り物で、

骨も皮も取り除かずに使うので色が黒いそうです。

静岡おでんには欠かすことができない食材で、

地元の方はおでん以外にもフライにしたり、

日常的に食べられているそうですよ。

へぇ~、これよく聞きます。

 

その② 『スープが黒い』。

主に牛すじでダシをとって、お醤油で味付けされています。

それぞれお店によって、独自のレシピがあるそうです。

静岡の黒いおでんはそういう意味なんですネ。

 

その③ 『具が串に刺してある』。

黒はんぺんを始め、コンニャクやちくわ、大根、玉子、

牛すじといった具がすべて串に刺さっています。

これって食べやすそうですよネ。

 

その④ 『食べる時に、青海苔やだし粉(こ)をかける』。

このだし粉とは、イワシの煮干しを削って粉にしたものです。

なんかお好み焼きを食べるみたいですよネ。

 

その⑤ 『駄菓子屋さんにもある』。

子どもの頃、学校の帰りに近くの駄菓子屋さんに寄って、

おでんを食べた思い出を持つ方も多いそうです。

 

駄菓子屋さんで食べるんですネ。

健康的なおやつでイイですネ。

静岡の人たちにとって、おでんは特別なものなんですネ。

 

 

11/6(金)  『金沢おでんと名古屋おでん』

 

『金沢おでん』とは、昆布ダシなどの澄んだつゆで具を煮込んだものです。

その具材が個性的で、リング状になったお麩『車麩』や『バイ貝』、

練り物の『ふかし』、赤い渦巻き状のカマボコ『赤巻』、

地元では“香箱ガニ”と呼ばれるメスのズワイガニの甲羅に

身や卵を詰めた『カニ面』、その他、地元の加賀野菜などが

使われています。

 

私は金沢に行くと、金沢おでんをいただくのが楽しみなんですが、

カウンターだけの小さなお店で、

加賀野菜の『源助だいこん』や『車麩』を食べて、

ほっこりするのが好きです。

 

続いて『名古屋の味噌おでん』です。

大豆だけを原料に造られた『豆みそ』の1つ、

『八丁味噌』をベースにした甘めのつゆで煮込んだおでんです。

 

具はお豆腐や大根、コンニャク、玉子、里芋、牛すじなどです。

どれも八丁味噌でじっくりと煮込んであるので、

どれもこれも赤茶色っぽい色をしています。

関東のおでんの定番である練り物は、お味噌の味とマッチしないので

入れないそうです。

 

名古屋といえば八丁味噌。

こちらも体の芯から温まって美味しいですよねぇ~。

これも大好き!

 

寒くなってきますと、お腹の中から温まるおでんが

本当に嬉しいですよネ。

 

私はどうしても大根とか、ちくわとか、コンニャクとか

昔からあるような具材が好きなんですけども、

これからいろいろ日本全国のおでんを勉強して

試してみたいなと思います。

 

 

■今週の感想 

 

今週、東京では3年ぶりに木枯らし1号が吹きました。

11/7は『立冬』。暦の上では冬が始まります。

 

番組でもお話しましたが、寒くなってくると

おでんの温かさが嬉しいですよネ。

 

おでんはその土地によって味も具材も違いますが、

今回ご紹介できたのは、ほんの一部です。

おでんの世界は本当に奥深いですから、

もっともっとおでんのことが知りたくなりました。

 

今週の放送を聴いて、おでんが食べたくなった方、いらっしゃるかな?(笑)

 

 

【お知らせ① 次週(11/9~)からのテーマ】

 

毎年この時期の行事の1つ、『七五三』についてです。

 

【お知らせ② 番組で使用しているBGM】

 

◆オープニング 

♪ALL OF YOU / コルビー・キャレイ

 

◆エンディング

♪To Be  /  モントルー

 

 

パーソナリティ
  • 羽田美智子
    羽田美智子
    羽田美智子

    羽田美智子

    茨城県出身。1988年デビュー。女優として映画、ドラマ、CMなどで活躍中。94年、映画『RAMPO』でエランドール賞新人賞などを受賞。95年、映画『人でなしの恋』で日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞。『花嫁のれん』(東海テレビ系列)シリーズ、『特捜9』(テレビ朝日)シリーズ、『おかしな刑事』(テレビ朝日)シリーズ、『ひよっこ』(NHK)など、数々の人気ドラマに出演している。2019年、実家の屋号である”羽田甚”を引き継ぎ、ネットショップ『羽田甚商店』をオープン。自身の五感を通して「本当にイイ!」と思ったものだけを紹介・販売している。
    羽田甚商店:https://hadajinshop.co.jp/