震災から3年。取材で伺った大船渡で看護師として働いていた娘さんがしばらく仕事を休んでいるという話を聞きました。看護学生だった3年前、我が家が津波に流されてゆく光景を見たお嬢さんは、その後頑張って国家試験に臨み夢をかなえて看護師になったものの、

昨年から体調を崩してしまいました。医師の診断では心的外傷後ストレス障害、PTSDということでした。

2月下旬にその話を伺ってから、震災後PTSDに苦しむ被災者の方々の記事が多いことに気づきます。

脳科学者の澤口俊之先生に番組でPTSDについて聞きました。治療法はかなり確立しているので専門医に相談して欲しいとのことでしたが、3年もたったのだからとか、時が解決してくれるからということでPTSDと知らずに体調不良に苦しみ自分を責めている人も多いことでしょう。特に子供の場合は自分の気持ちをうまく表現できずに心を痛めている場合もあるようです。

福島では震災関連死の方が直接死の方を超えてしまいました。現地を知る人は皆、先行きが不透明なことからDV(家庭内暴力)や離婚も多いと語ります。

仙台の出版社「荒蝦夷」の土方正志さんは、津波の時は親も子もなくみんなバラバラに逃げろという教え「津波てんでこ」を例にとり「被災もてんでこ」「再起もてんでこ」「地域もてんでこ」。つまり一人ひとりが様々な事情を抱えて生きていると言います。

このような時、国よりも地域のつながりの大切さを痛感しますが、自治体職員の仕事量は震災前に比べ何十倍にもなっていて職員事態が疲弊しているという記事も読みました。

すべてを瞬時に解決する方法などないのでしょう。それでもその様々な事情に耳を懸命にかたむけて行くことが、ささやかではありますが私に与えられた仕事だと思っています。