あさナビ

2019.05.31

昆虫学者・五箇公一さんに聞く外来種問題。

5月27日(月)からは、

昆虫学者で農学博士、ダニ学者としても知られる五箇公一さん登場。

現在、国立環境研究所に所属し、外来生物や農薬による生態リスク研究を展開。

昨年ニュースで大きく取り上げられた“毒アリ・ヒアリ”

外来種問題から私たちが学ぶべきこと、

そして自然との向き合い方について伺いました。

 

所属する国立環境研究所

 

5月27日(月)  昆虫学者と農学博士

大学時代は害虫・ハダニの研究をしていて、

大学卒業後、殺虫剤の開発に7年間携わった。

農作物を守るための、殺虫剤の研究は

とてもやりがいはあったが、企業での開発となると

自由に研究しきれない部分があり、

一念発起し博士号を取得、国立環境研究所に入った。

以来、人間と生き物の共存を目指し、日々研究を進めている。

数年前に話題になった、「ヒアリ」は今も日本には生息している。

普通のアリと見た目だけで見分ける事は困難だが、

今は、簡単なヒアリの検出キットがあり、

日本全国に無料で配布している、

人々の生活を守ると当時に、

全国レベルで調査を進めている。

 

5月28日(火)  外来生物大国、日本

2017年に外来生物として、猛威をふるった「ヒアリ」

数は少なくなったものの、まだ日本に生息している。

ヒアリに関しては、噛まれた際、通常のアリとは

違う激痛が走るが、アレルギー体質でない限り大事に至ることはない。

アレルギー体質の場合は、20分程度で目眩などの全身症状が

あらわれるため、噛まれた後は、

とにかく誰かに付き添ってもらいつつ、様子を見ることが大切。

他にもたくさんの外来生物が日本には存在していて、

明治維新後、開国を機に一気に外来生物が増加し、

スズメやモンシロチョウも、実は外来生物に分類される。

目まぐるしく自然環境の変化が起こる日本は

外来生物が適応しやすいという面もあり、

まずは、どんな生物なのか、そして有害性があるのかを調べ、

人間と上手く共存出来るかを、念頭に置いて調査を進めている。

 

 

5月29日(水)  外来生物トラブル

2008年にフロリダに、ヒアリの調査に行った際

アクシデントで、数十匹のヒアリに噛まれてしまった。

幸い、アレルギー症状は出なかったものの、

火の粉が飛んだような痛みを味わった、

傷跡も1ヶ月程度は消えず、少し手痛い研究となった。

また、ヒアリ以外にも外来生物のトラブルは多発していて、

ミシシッピアカミミガメは、日本ではミドリガメという名前で、

長きに渡りペットとして親しまれている。

しかし、ミドリガメはとても長生きするため、

大きくなると川などに捨てられる、という事件が多発していて、

その数は増えに増え続け、現在は国内に

890万匹ほど生息していると言われている。

ここまで増えると駆除も難航しているため、

外来生物に限らず、ペットは最後まで責任を持って育てて欲しい。

 

5月30日(木)  生粋の虫好き

幼少期から、昆虫が好きで、

よく飼育したり、観察をしていた。

大学は理工系の勉強をするつもりだったが

バイオテクノロジーとの出会いをきっかけに、農学部に進学。

実習を受けていく中で、ダニを観察した時

幼少期の思いが蘇り、一気にダニに魅せられてしまった。

ダニはどこにでも必ず存在していて、

基本的にホコリがたくさんある所によく住み着いている。

清潔にしていれば、そこまで増えすぎてしまうことはない。

部屋の掃除だけではなく、布団を清潔に、

そしてきちんと干したり、乾燥機にかける事が効果的で、

ダニが増えすぎると、その死骸などを吸い込んでしまい、

アレルギー症状を引き起こす危険がある。

 

5月31日(金)  今後の目標

やってみたい研究は、ほとんどやり尽くしたと自負していて、

今後は今までの経験を生かし、より一層生物と人間の共存に
貢献していければと考えている。

また、日本から海外に輸出してしまうというケースもある

例えば、緑化目的で輸出した、植物の「クズ」は緑化には成功したものの、

現地で増えすぎて困っているという事案もあった。

生物に関しては、何より知識を持つことが大切。

個人的な今後の活動は、生物の絵を描くこと。

既に、ダニや昆虫の絵をCGで描いていて、

奇妙な見た目だが、非常に目を惹く作品に仕上がっている。

そこには、普段見えないものを絵にして、興味を持ってもらい

昆虫の事を知ってもらいたいという背景もある。

いつか自身の絵を集めて、個展を開いて見たい。

 

 

↓五箇先生 直筆

 

 

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