ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2025.08.31

サンデー早起キネマ『遠い山なみの光』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”

8/31の1本目は、カズオ・イシグロの小説を映画化。1950年代の長崎と1980年代のイギリスを生きる3人の女たちの知られざる真実に涙溢れるヒューマンミステリー
『遠い山なみの光』

1989年にイギリス最高の文学賞であるブッカー賞、2017年にノーベル文学賞を受賞し、二つの世紀を代表する小説家となったカズオ・イシグロ氏。
1954年生まれのイシグロ氏は5歳まで長崎に住んでいましたが、薄れゆく“自分の中の日本”を小説の中に留めておきたいと20代半ばに執筆されたのが、1982年に発表されたデビュー作「遠い山なみの光」なのです。
メガホンをとったのは、『ある男』『蜜蜂と遠雷』の石川慶監督。脚本と編集も担当しています。

日本人の母とイギリス人の父を持つニキは、大学を中退して作家を目指しています。
彼女は、母・悦子の半生を作品にしたいと考えていました。長崎で原爆を経験、その後イギリスへ渡り、苦楽を共にした長女を亡くした壮絶な人生です。
次女のニキに乞われ、ずっと口を閉ざしてきた過去の記憶を語り始める悦子。それは、戦後間もない長崎で出会った佐知子という女性とその幼い娘と過ごしたひと夏の思い出でした。
しかし、ニキは次第に悦子が話す物語の食い違いに気づき始めます。母がついた〈嘘〉とは?

長崎時代の悦子を演じるのは広瀬すずさん、佐知子に二階堂ふみさん、イギリス時代の悦子に吉田羊さん、ニキにはオーディションで選ばれたカミラ・アイコさん、さらに悦子の夫に松下洸平さん、その父親に三浦友和さんと、錚々たるメンバーが揃いました。

全ての出演者がそれぞれの役を生きているように感じました。
元音楽教師でお堅いイメージの悦子と、アメリカ兵の恋人がいて先進的な考えの佐知子、対照的な役柄の広瀬すずさんと二階堂ふみさんのツーショットにはドキドキが止まりませんでした。

過去の長崎と今のイギリスを行ったり来たりする物語が終盤に差し掛かると、予想もしなかった真実が浮かび上がってきます。
「え~?そういうことだったの…悦子さんにやられた!」と現実を知った後、また最初から細かいところまで見直したくなるのです。

終戦間もない長崎での戦争の記憶と古い価値観に抗い、新しく生まれた価値観の中で生きていく女性の強さが感じられる作品は、先の見えない今を生きる私たちに大いなる勇気を与えてくれます。

『遠い山なみの光』
9月5日(金)TOHOシネマズ日比谷他 全国ロードショー

公式サイト:映画『遠い山なみの光』
広瀬すず 二階堂ふみ 吉田 羊
カミラ アイコ 柴田理恵 渡辺大知 鈴木碧桜
松下洸平 / 三浦友和
監督・脚本・編集:石川 慶
原作:カズオ・イシグロ/小野寺健訳「遠い山なみの光」(ハヤカワ文庫)
配給:ギャガ
©2025 A Pale View of Hills Film Partners

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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