ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2025.07.20

サンデー早起キネマ『私たちが光と想うすべて』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”

7/20の1本目は、インドから届いた優しさ溢れる感動作
『私たちが光と想うすべて』

先週に続いてインドの作品をご紹介しますが、歌もダンスもありません。全くタイプは違っても、これもまたインドの一面を描いた作品です。
インドの新星パヤル・カパーリヤー監督の長編劇映画デビュー作にして、インド映画史上初の快挙!
第77回カンヌ国際映画祭コンペティション部門でパルムドールに次ぐグランプリに輝き、70か国以上で公開されることになりました。

インドの大都市ムンバイで看護師をしているプラバと後輩のアヌは、ルームメイトです。しかし、職場と自宅を往復する仕事一筋の真面目なプラバと、人生を楽しみたい陽気なアヌの間には、少し心の距離がありました。
プラバは親が決めた相手と結婚したものの、夫は仕事でドイツに行ったきり、長いこと連絡もありません。一方、アヌは、親や周りに大反対されるのを承知で、内緒で異教徒イスラム教徒の恋人と付き合っています。
そんな中、病院の食堂で働くパルヴァティが、高層ビル建築のために立ち退きを迫られ、故郷の海辺の村へ帰ることになります。揺れる想いを抱えたプラバとアヌは、一人で生きていくというパルヴァティを村まで送り届ける旅に出ます。
神秘的な森や洞窟、美しい海…大都会のムンバイとは別世界のような村で、二人はそれぞれ、人生を変えようと決意する“思いがけない出来事”に遭遇するのです。

光に満ちた優しく淡い美しい映像と音楽、詩的で幻想的な世界観で、これまでのインド映画のイメージを一新、「ウォン・カーウァイを彷彿とさせる」と評判を呼んだこの作品は、とても静かなのに真っ直ぐ届く光のような力強さを感じます。それは世代や境遇、性格も違う三人の女性たちの強さでしょうか。
社会に縛られ、ままならない人生に葛藤しながらも、すこしでも自由に生きるために自分を解放すべくお互いを支え合う姿に、胸が熱くなり心から応援したくなってきます。
特に、女性なら共感する部分が多いのではないでしょうか。
ずっと見ていたいと思わせるラストシーンに心がほっこりしました。

仕事、恋、結婚──ままならない人生に揺れる女性たちの友情を描く儚いけれど決して消えない光を放つ感動作は、パヤル・カパーリヤー監督の包み込むような温かなまなざしが感じられます。
そんな監督の2021年の長編ドキュメンタリー『何も知らない夜』も8/8から限定公開される予定です。こちらも是非お楽しみください。

『私たちが光と想うすべて』
7/25(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開

公式サイト:映画『私たちが光と想うすべて』公式サイト
監督・脚本:パヤル・カパーリヤー 
出演:カニ・クスルティ、ディヴィヤ・プラバ、チャヤ・カダム
原題:All We Imagine as Light/2024年/フランス、インド、オランダ、ルクセンブルク/マラヤーラム語、ヒンディー語/118分/1.66:1/字幕:藤井美佳/配給:セテラ・インターナショナル PG12
© PETIT CHAOS – CHALK & CHEESE FILMS – BALDR FILM – LES FILMS FAUVES – ARTE FRANCE CINÉMA – 2024

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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