おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
3/16は、作品の世界観にドップリ浸れる名作を3本ご紹介。
1本目は、今月行われたアカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞!
洪水に呑まれつつある世界を舞台に、時には運命に抗い、時には流され漂う一匹の猫の旅路『Flow』

バルト三国の一つ、ラトビアの新鋭ギンツ・ジルバロディス監督の長編2作目が、ゴールデングローブ賞アニメ映画賞に続き、ハリウッドのメジャースタジオ作品を抑えて、アカデミー賞でも見事オスカーを受賞しました。
大規模なスタジオ作品では数百人が携わり、予算が数百億とも言われるアニメーション制作において、オープンソフトウェアBlenderで制作され、スタッフは40~50人、制作費は約6億円という、アニメーション制作の常識を覆す革新性も話題となっています。

さあ、その物語とは…
世界が大洪水に包まれ今にも街が消えようとする中、ある一匹の黒猫が今いる場所から旅立つ決意をします。
流れて来た帆掛け船。乗っていたのはマイペースなカピバラ、やがて、空気を読まない無邪気な犬や物を集めるのが好きなキツネザル、大きなヘビクイワシなど、どんどん仲間が増えていきます。
彼らは、旅の途中で、想像を超えた出来事や予期せぬ危機に襲われることに。でも、最初はちぐはぐだった彼らに少しずつ友情が芽生えはじめ、力を合わせ逞しくなっていくのです。
果たして彼らは運命を変える事が出来るのか?そして、この冒険の果てにあるものとは?

見終わった途端、カルチャーショック!いろんな意味ですごいものを観ちゃったなと思いました。
まず映像が綺麗で、森の緑や空の青、花や動物たちの姿が鮮やか!緑を渡る風を感じてしまうようなリアリティさがあります。洪水のおどろおどろしさは飲みこまれてしまうような恐怖を感じるほどです。
猫の視線でとらえているので、走る時のスピード感や落ちていく感覚が味わえます。まるで、テーマパークのアトラクションに乗っている気分です。

そして、猫と一緒に旅をする動物たちが個性豊かで可愛くてユーモラス。セリフが一言もないのに、今こんなこと言っているんだなと頭の中に聞こえてくるのが不思議でした。
最初は“我関せず”だったのに、危機を乗り越えるたびに少しずつ仲間になっていく様子にもほっこり。

彼らが人間社会を映し出しているだけでなく、人間の力が及ばない大自然の驚異も感じました。
捉え方によっては、人類、地球、宇宙規模の壮大ささえ感じさせてくれる唯一無二の作品。
大人も子供も見るだけで、心のうちに何かが芽生え、少なからず良い変化があるのではないでしょうか。是非、大スクリーンで、猫と一緒に旅をして頂きたいです。

『Flow』
3月14日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー
公式サイト:flow-movie.com
監督・脚本・音楽:ギンツ・ジルバロディス
音楽:リハルズ・ザリュペ
共同脚本・プロデューサー:マティス・カジャ
脚色:ロン・ディアンス『ロング・ウェイ・ノース 地球のてっぺん』
サウンドデザイン: グルワル・コック=ガラス『天国でまた会おう』
アニメーション監督:レオ・シリーペリシエ 『夜のとばりの物語』
2024/ラトビア、フランス、ベルギー/カラー/85分
配給:ファインフィルムズ 映倫:G
後援:駐日ラトビア共和国大使館
原題:Flow
©Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.

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