おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
1/26は、映画ならではの楽しみが見つかる3本をご紹介。
1本目は、人の笑顔や歴史の裏にあるリアル・ペイン(=本当の痛み)に気づいていく、心に沁みるロードムービー
『リアル・ペイン~心の旅~』

幼い頃は兄弟のように育ち、大人になってからは疎遠になっていたいとこ同士、デヴィッドとベンジーが数年ぶりに再会しました。
常識人タイプでやや神経質なデヴィッドは、デジタル広告の仕事をし、妻子と共にニューヨークのブルックリンに住んでいます。一方、周りを巻き込む自由奔放さの裏に繊細な感受性を持つベンジーは、現在無職。
全く正反対の性格の2人は、最近亡くなった最愛の祖母の遺言で、母国アメリカから彼女の故郷ポーランドを旅することになったのです。
ユダヤ系の祖母がかつて体験した第二次世界大戦のホロコースト史跡ツアーに参加し、 最後はナチス・ドイツに迫害されるまで祖母が住んでいた家を訪ねる予定です。その史跡ツアーで出会った人々と様々な地を巡りながら、最終日にマイダネク強制収容所跡へ向かう2人。
旅の先々で揺れ動く感情。家族のルーツや人生の葛藤に向き合う二人がこの旅で得たものとは?

デヴィッドを演じたのは、ジェシー・アイゼンバーグ。
今回は、監督・脚本・製作も担当。監督2作品目、アカデミー賞の脚本賞にもノミネートされました。
ユダヤ系アメリカ人のアイゼンバーグ監督は、家族のルーツがポーランドにあり、ホロコーストで迫害された叔母が住んでいた家を訪れた経験からこの作品が生まれました。
そして、奔放かつ屈折したベンジーを演じたのは、キーラン・カルキン。
本当に素晴らしかった神がかり的演技でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされています。

この作品には二つの要素があります。
正反対の男性2人が、長い間会えなかった間に何があって今このような状況になっているのか…お互いの痛みを理解するために奮闘するバディコメディであり、もう一つは、大きな歴史の痛みです。
実際に、私たちもホロコーストツアーに参加している気分になり、美しいポーランドの風景の中に悲しい歴史が隠されているのだと改めて実感させられます。

この旅で、自分の心の痛み、ルーツとしての民族の痛みをあるがままに受け入れられたからこそ、彼らは、次に向かっていけるのだと、希望の光が見えました。
形は違えど誰にでもある痛み…だから、この作品を観た私たちも、涙の後は笑顔で前に歩いていけるのです。

『リアル・ペイン~心の旅~』
1月31日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
公式サイト:リアル・ペイン~心の旅~ | Searchlight Pictures Japan
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2024 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.

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