おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
12/22は、それぞれの時代を切り取った作品と映画祭をご紹介。
1本目は、ある家族の人には言えない事情を通して、中国の特殊な状況や社会の変化を描く
『夏が来て、冬が往く』

中国は今、結婚しない選択をする女性が増え、少子高齢化の一途をたどっています。
その背景には、失業率の上昇など将来への不安、そして、今は撤廃されていますが1980年頃から導入された「一人っ子政策」で女性より男性の数が多いという現状があります。
さらに、男尊女卑の考え方が根強い地方では女の子の誕生は歓迎されず、養女に出されたケースも多かったといいます。

これまで映像作品で取り上げることが少なかったこのような中国社会のひずみにスポットを当てたのは、これが初の長編映画となる彭偉(ポン・ウェイ)監督。
中国で実際にあった数件の家族のエピソードを盛り込み、多くの女性たちが経験しながらも大きな声では語れなかった心の傷に優しく寄り添ってくれます。
時代は変わったのに、旧態依然の考え方が残る日本で生きる私たちにも共感できる部分がたくさんあります。

幼い頃、養女に出されたチアニーは、深圳(シンセン)の貿易会社で働いています。
「自分たちの持ち家がないから」という理由で、恋人との結婚に踏み切れずにいました。中国では昔から「家がなければ結婚できない」といわれてきましたが、チアニーもその考えに囚われ、愛情が大事で家はどうでもいいという恋人からのプロポーズに応えられずにいたのです。
そんな時、生き別れになっていた実の父親が亡くなったと、突然の知らせが届きます。
葬儀に参列するため生家を訪れたチアニーは、自分には2人の姉と弟が1人いて次女と三女の自分が養女に出されたことがわかります。
海辺の長閑な村で家族の温もりも感じながら、養父と過ごした幼い日々を思い出すチアニー。
しかしやがて、母が、養子に出した娘たちを捜し出した本当の目的を知ることになるのです…。

少しでも封建的な考えに接したことがある方、特に女性は、驚きと怒りと悲しみが一度に襲ってきます。
どんな家族にも何かしらの問題はあるでしょう。でも、チアニーと姉たちが経験してきたことは、あまりにも理不尽です。
それでも、彼女たちには、割り切れない感情を丸ごと受け止める柔軟さと懐の深さがあります。
そんな彼女たちを見ていると、前を向いておおらかに生きていこうと思える勇気がもらえるのです。

『夏が来て、冬が往く』
12月27日(金)より 新宿武蔵野館 ほか全国順次ロードショー
公式サイト:https://natsugakite-fuyugayuku.com
監督:彭偉(ポン・ウェイ)
2023 年|中国|カラー| 98 分|HD(16:9)|5.1ch
映倫レイティング:G
配給|アークエンタテインメント
配給協力|クロスメディア
©MICRO ENTERTAINMENT TIMES FILM CO. LTD.

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