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12/1は、映像の素晴らしさと役者さんたちの見事な演技に脱帽する3本。
3本目は、ミア・ワシコウスカ主演。ブラックユーモアで包んだポップで不気味なスリラー
『クラブゼロ』
この衝撃作のメガホンを取ったのは、ジェシカ・ハウスナー監督。
村人が十分な報酬を払わなかった為、子どもたちが誘拐されたという伝承「ハーメルンの笛吹き男」を出発点に描いたといいます。
舞台は、勉強だけでなくスポーツや音楽など様々な特技を持つ子供たちが通う名門校。断食茶をプロデュースするなど最新の食事法を知るノヴァクが、栄養学の教師として招かれました。
早速、子どもたちに“意識的な食事”を教えます。それは「少食は健康的であり、社会の束縛から自分を解放する」というもの。食事量を減らせば細胞が活性化し、体力がつく、病気が治る、寿命が伸びるなど、様々な効果が得られる…しかも、商業主義から解放され、環境保護にもつながるというのです。
「みんなで健康に、信念を持って生きていきましょう!」
ノヴァクの教えを実践する子どもたち。親たちが何かがおかしいと気付き始めた頃には時すでに遅し!
生徒たちは痩せ細り、ノヴァクの教えにますますのめり込んでいきます。やがて“クラブゼロ”と呼ばれる謎のクラブに参加することに。
栄養学の教師が子供たちを導く先は、幸福なのか、それとも破滅なのでしょうか…。
ノヴァクを演じたのは『アリス・イン・ワンダーランド』のミア・ワシコウスカ。“意識的な食事”は体にいいと盲信し生徒を導く姿は、まるでカルト教団の教祖のよう。ノヴァクは、真実を純粋にみんなに理解してほしいだけ。悪気なんてありません。
こうして人はカルト宗教にハマっていくのだと、その過程を見たような気がします。
ジェシカ・ハウスナー監督は、生きる上で誰もが必要とする「食事」と「親はいかにして子供を守れるのか」という疑問を提示していますが、親たちの心許ない感じは、今の世の中をそのまま表し、エンディングロールまで引きずっています。
色鮮やかで、物事を俯瞰しているかのような映像も印象的。制服やファッション、建物もインテリアも素敵で、内容とのギャップにそそられます。
また、世界中から集めたドラムを使用した宗教的な音楽も、不気味さに一役買っています。
意識的な食事で体力は向上、環境保護にもなり、幸福度もアップ!ホントデスカ?人間の愚かさをブラックユーモアで描く衝撃作…ヤバいです。
『クラブゼロ』
12月6日(金)新宿武蔵野館ほか全国公開
公式サイト:映画『クラブゼロ』オフィシャルサイト
出演:ミア・ワシコウスカ
脚本・監督:ジェシカ・ハウスナー
撮影:マルティン・ゲシュラハト
2023年|オーストリア・イギリス・ドイツ・フランス・デンマーク・カタール|5.1ch|アメリカンビスタ|英語|110分|原題:CLUB ZERO|字幕翻訳:髙橋彩|配給:クロックワークス
Ⓒ COOP99, CLUB ZERO LTD., ESSENTIAL FILMS, PARISIENNE DE PRODUCTION, PALOMA PRODUCTIONS, BRITISH BROADCASTING CORPORATION, ARTE FRANCE CINÉMA 2023
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