おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
9/15は、実話を描いた“映画以上に映画的なストーリー”、驚きの感動作を3本ご紹介します。
3本目は、吉沢亮さん主演。きこえない母ときこえる息子、母への想いを見出していくひとりのコーダの心の軌跡
『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
原作は、コーダ(きこえない、またはきこえにくい親を持つ聴者の子ども)という生い立ちを踏まえ、社会的マイノリティに焦点を当てた執筆活動をする作家・エッセイストの五十嵐大氏の自伝的エッセイ「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」。
宮城県の小さな港町。祖父母と耳のきこえない両親のもとで愛情たっぷりに育った五十嵐大。
幼い頃から母の“通訳”をすることも“ふつう”の楽しい日常でした。
しかし次第に、周りから特別視されることに戸惑い、苛立ち、母の明るさすら疎ましくなってきます。耳のきこえない母を“守りたい”のに、その自分が一番母を傷つけている…そんな心を持て余したまま20歳になり、逃げるように東京へ旅立つ大。
“故郷の小さな町”と“生い立ちから自由になれる東京”というまた別のふたつの世界も行き来しながら、自分の居場所や記憶の底に隠れていた母への想いを見出していくのです。
メガホンを取ったのは、『そこのみにて光り輝く』『きみはいい子』の呉美保監督。9年ぶりの長編作品です。
2022年公開のアカデミー賞受賞作『Coda コーダ あいのうた』から始まったろう者の役をろう者の俳優が演じるという流れに積極的に感化され、キャスティングも拘りました。
明るい笑顔で変わらぬ愛を息子に注ぎ続ける母・明子役には、映画、ドラマ、舞台で活躍する忍足亜希子さん。
おおらかで温厚な父・陽介には、日本ろう者劇団やEテレの「ハートネットTV」などで活動する今井彰人さん。
そして、主人公“きこえる世界”と“きこえない世界”を行き来しながら生きる・五十嵐大には、
映画『キングダム』や『東京リベンジャーズ』の各シリーズをはじめ、多彩な役柄に挑戦し、俳優としての可能性を広げ続ける吉沢亮さん。今回は中学生から演じているのですが、それがとても自然で、改めてその演技力に驚かされました。2カ月ほどかけて習得した手話は、実際に手話を使う人々も絶賛だそうです。
他に、ユースケ・サンタマリアさん、烏丸せつこさん、でんでんさんなど、演技派が脇を固めます。
ふたつの世界を生きるコーダの大の物語なのですが、とても身近に感じました。
大人になればわかる親の愛情が中高生の頃はウザいと思ったり、心の中では申し訳ないと思っているのに口に出して言えないなど、共感できることばかり。
また、若さゆえに、自分に何ができるのかわからなかったり、不甲斐なさを家のせいにしたり…観ているうちに大と自分が重なって、胸がいっぱいになってきます。
最後のシーンはそんな思いが涙と共にあふれ出ました。
これは、母と息子の、そして誰にでも共感できる私たちの物語なのです。
『ぼくが生きてる、ふたつの世界』
9月20日(金)新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
公式サイト:映画『ぼくが生きてる、ふたつの世界』公式サイト (gaga.ne.jp)
監督:呉美保 『そこのみにて光輝く』(14)、『きみはいい子』(15)等
脚本:港岳彦 『ゴールド・ボーイ』(24)、『正欲』、『アナログ』(23)等
主演:吉沢亮 『キングダム』シリーズ、『東京リベンジャーズ』シリーズ等
出演:忍足亜希子 今井彰人 ユースケ・サンタマリア 烏丸せつこ でんでん
原作:五十嵐大「ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと」(幻冬舎刊)
©五十嵐大/幻冬舎 ©2024「ぼくが生きてる、ふたつの世界」製作委員会
配給:ギャガ
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