ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

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2024.09.15

サンデー早起キネマ『パリのちいさなオーケストラ』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
9/15は、実話を描いた“映画以上に映画的なストーリー”、驚きの感動作を3本ご紹介します。

1本目は、差別を乗り越えオーケストラを立ち上げた一人の移民の少女と仲間たちの感動の物語
『パリのちいさなオーケストラ』

パリ・オリンピックの閉会式をご覧になりましたか?
オーケストラの指揮をしていた女性がとても気になったのですが、今日ご紹介するのは、まさしくその女性ザイア・ジウアニさんと彼女のオケ、ディヴェルティメント・オーケストラ誕生の物語です。

パリ近郊の音楽院(コンセルヴァトワール)でヴィオラを学んできたアルジェリア系移民の子ザイアは、チェロを学ぶ双子の妹のフェットゥマと共に、パリ市内の名門エリート音楽院に最終学年で編入が認められ、指揮者になりたいという夢が一歩近づきます。
しかし、世界中で女性指揮者はわずか6%という狭き門、さらにクラスには指揮者を目指すエリートのランベールがいました。
エリート意識の強いランベールの仲間たちには田舎者とやじられ、指揮の練習の授業では、指揮台に立っても真面目に演奏してもらえず、練習になりません。
そんな中、特別授業に来た世界的な指揮者セルジュ・チェリビダッケに気に入られたザイアは、「女性は指揮者向きじゃない。みんな2週間でやめた」と言われながらも、彼の指導を受けられるようになり、女性指揮者としての道がわずかに拓き始めるのです。

貧富の格差なく誰もが音楽を楽しめるように、パリ市内の上流家庭出身の生徒たちと移民の多いパリ近郊の地元の友人をまとめ、垣根を超えたオーケストラを結成した移民の少女の実話を映画化したのは『奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ』のマリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール監督。
現実は想像よりもはるかに強いから、自分の映画であまり創作をしないという監督は、現実に起きたことは、「他の人にも起こり得ること、他の人が同じことをして成功する可能性があることを証明する」と話しています。

人種、地域、貧富、性別…さまざまな差別に立ち向かい、必死に自分の夢を叶えようとするザイアを観ていると、心から応援したくなり、さらに自分も何かできるのではないかと勇気が湧いてきます。
差別してしまう人間の難しさを実感しつつも、夢の実現、自己実現のために戦い続ける人間もいるということ、それを支える人間もいるということに涙が止まりませんでした。

“音楽の力で人は変われる”という強い信念を持つザイアのもとでみんなで力を合わせて音楽を作り上げていく喜びもひしひしと伝わってきます。
劇中を彩るクラシックもポピュラーでわかりやすく、誰でも気軽にクラシックにアクセスできるようにしたいという意図がよくわかります。音楽って本当に素晴らしい!
夢を諦めず、音楽の力で高い壁を乗り越えていく姿に胸が熱くなる、爽やかな感動作を是非劇場でご覧ください。

『パリのちいさなオーケストラ』
9月20日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開

公式サイト:映画『パリのちいさなオーケストラ』公式サイト (parisorchemovie.com)
監督・脚本:マリー=カスティーユ・マンシヨン=シャール
出演:ウーヤラ・アマムラ、リナ・エル・アラビ、ニエル・アレストリュプ
2022年/フランス/フランス語/114分/カラー/ビスタサイズ
原題:Divertimento/映倫区分:PG-12
配給:アット エンタテインメント 
© Easy Tiger / Estello Films / France 2 Cinéma

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    • ひろたみゆ紀
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      ひろたみゆ紀

      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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