ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2024.08.25

サンデー早起キネマ『エターナルメモリー』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
8/25は、人間の素晴らしさと記憶・記録にまつわる3本ご紹介します。

1本目は、アルツハイマーと闘いながらも、優しさとユーモアを大切に暮らす夫婦の日々を綴ったチリのドキュメンタリー映画
『エターナルメモリー』

その夫婦とは、著名なジャーナリストの夫、アウグスト・ゴンゴラと、チリで最初の文化大臣となった国民的女優、パウリナ・ウルティア。
深い愛情で結ばれ25年間連れ添ってきたふたりは、自然に囲まれた古い家をリフォームして、読書や散歩を楽しみ、日々を丁寧に生きています。
そんな中、アウグストがアルツハイマーを患い、少しずつ記憶が失われ、最愛の妻パウリナとの思い出さえも消え始めます。
この作品は、アルツハイマーを患ったアウグストと、困難に直面しながらも彼との生活を慈しみ彼を支えるパウリナの愛と癒しに満ちた日々を記録した、感動のドキュメンタリーであり、真実のラブストーリーなのです。

監督は、私も大好きな作品、このコーナーでもご紹介した『83歳のやさしいスパイ』で
チリの女性として初めてアカデミー賞にノミネートされたマイテ・アルベルディ。
ある日、夫婦と出逢ったアルベルディ監督は、パウリナの職場に夫のアウグストがいたことに驚きました。
「彼のために仕事が中断されても、彼女は恥じることはなく、彼がそこにいることを楽しんでいた。アルツハイマーの患者が介護する人の生活にこれほど溶け込んでいるのを、見たことがなかった」といいます。

ドキュメンタリーの撮影を申し込んだところ、難色を示したのはパウリナで、積極的だったのはアウグストでした。
「自分が弱っている姿を見せることに、何の問題もない。私はたくさんのドキュメンタリーを撮ってきた」と。
そう、アウグストは、チリの独裁政権時代、主要メディアが事実を報じなかった頃、仲間と街に出て、起きていることすべてを記録しながら人々にインタビューし、テープを秘密裏に全国に配布していたのです。

そんなアウグストの記憶がしっかりしている時も異次元に迷い込んでいる時も、ウソ偽りなくカメラの前にすべてをさらけ出したふたりの姿に、温かな涙が止まらなくなります。
苛立ちや動揺の中でも、2人の根底にはとてつもなく大きな愛があると感じられるからです。
2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になると推計され、その6割から7割がアルツハイマー病だと考えられている日本。
2人の生き方は、今認知症で苦しんでいる方々の、将来が不安な私たちの大きな指針になるのではないでしょうか?

『エターナルメモリー』
8月23日(金)、新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか
全国公開

公式サイト:映画『エターナルメモリー』公式サイト (synca.jp)
配給:シンカ
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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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