おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
8/18は、自分もその場にいるような臨場感、スクリーンの世界に引き込まれる3本。
1本目は、社会に馴染めない兄と、未来を諦めた父、家にしばられる妹。そんな三人が踏み出す小さな一歩を描く家族の物語
『心平、』
舞台は、東日本大震災から3年後、2014年の夏。地震と津波に加え、原発事故で多くの人が家や仕事を失い、深い傷跡の残る福島の小さな村です。
ここで父と妹と3人で暮らしている心平は、軽度の知的障害があります。兼業農家の父を手伝ってきましたが、原発事故で農業が出来なくなってから職を転々とし、今は無職。
小遣いを渡すだけで息子の未来を諦めている父・一平は、不本意な自分自身をも酒でごまかしていました。
幼い頃から心平と一緒に通っていた天文台で働く妹のいちごは、そんな呑んだくれの父と働かない兄のために家事をする日々に、ウンザリ。自分を産んですぐに家を出ていった母のことも恨んでいます。
ある日、「住民が避難して留守の家で心平が空き巣をしているらしい」と近所の人から聞いたいちごと一平は、家を出たまま帰ってこない心平を追いかけてある場所へとたどり着きます。
そこには、思いがけない光景が広がっていたのです…。
主人公の心平役は、次々と話題作に出演する演技派俳優・奥野瑛太さん。
心平が何を思っているのか、はっきりと掴むことは難しいのですが、きっと心の中にとっても素敵な宇宙が広がっている人なんだろうなと感じられます。
心平を自立させることに熱心な妹・いちごには、『ダラダラ』でも存在感のある演技をみせた芦原優愛さん。
そして彼らの父親・一平役には『なん・なんだ』で主演を務めた下元史朗さん。
実力派が集い、世界の片隅で機能不全に陥る家族を見事に体現しました。
監督は、『ダラダラ』に次ぐ長編二作目、「映画は記録だ」という山城達郎氏。
「忘れてはいけないものを映画に記録し、観た人にとって記憶として残ってくれたら嬉しい」と語っています。
映画は記録…この仕事に携わるようになって、私もつくづくそう思うようになりました。
目に見えない遠くの出来事だと大切なことでも忘れてしまうのが人間。
ずっと苦しんでいる方がいるということを心に留めるためにも記録は大切ですよね。
この作品はある出来事の記録だけではなく、どこにでもある問題も扱っています。
コミュニティや家族、個人の問題…どこにいても誰にでも共感できる部分だと思います。
何気ない日常の中にもある小さな変化に気づかせてくれるような、そんな優しい視点を教えてくれる作品です。是非、多くの方に記録と感動を味わい、記憶に残して頂きたいです。
『心平、』
8月17日(土)より 新宿K’s cinema 他全国順次ロードショー
公式サイト:https://shinpei.jp/
監督|山城達郎
脚本|竹浪春花
2023年|日本|カラー|105分|シネマスコープ|5.1ch
レイティング:G
配給|インターフィルム
©冒険王/山城達郎
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