ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2024.07.28

サンデー早起キネマ『コンセント/同意』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
7/28は、時間のある夏休みに、観て感じて考えたい3本をご紹介。

3本目は、本国フランスで若者たちを中心に異例の大ヒット!国家を動かした衝撃の告発を映画化
『コンセント/同意』

主人公は、文学を愛する13歳の少女ヴァネッサ。ある日、50歳の有名作家ガブリエル・マツネフと出会います。
彼は自身の小児性愛嗜好を隠すことなくスキャンダラスな文学作品に仕立て上げ、既存の道徳や倫理への反逆者として、時代の寵児になった著名人でした。
やがて14歳になったヴァネッサは彼と<同意>の上で性的関係を結び、そのいびつな関係にのめり込んでいきます。
それが彼女の人生に長く暗い影を落とす、忌むべきものになるとも知らず……。

原作は、2020年1月に出版された編集者ヴァネッサ・スプリンゴラの『同意』。
彼女は、この本の中で、芸術文化勲章まで受賞した有名作家ガブリエル・マツネフから彼女自身を含め多くの子どもたちが受けていた性的虐待などを告発したのです。
その反響は凄まじく、マツネフの著書を出版してきた老舗のガリマール社をはじめ多くの出版社が彼の書籍の販売を中止、国からマツネフに支払われていた文学者手当も打ち切られるなど、フランス中を揺るがす事態に発展しました。

原作を映画化したのは、初の長編作品『マイ・エンジェル』が大絶賛されたヴァネッサ・フィロ監督。
「この作品は、性的虐待やパワハラを糾弾するもので、捕食者が奪う少女の“無邪気さ”にも目を向けています」と話していますが、少女がどのようにマツネフの餌食となっていくのか、驚くべきその手口が描かれています。
はじめは反対する母親も気づけば加担するようにもなり、おまけに世の中は、小児性愛を描くマツネフの文学を礼賛!
文学を隠れ蓑にした彼の身勝手な理論に惑わされ、何が本当で、何が大切なのか…わからなくなってしまうのです。

こんな恐ろしいことがあるのでしょうか…いえ、残念ながらどこの世界にもありますよね。
その仕掛け人の地位が高ければ高いほど、私たちは犯罪だということ、被害者がいるということに気が回らなくなり、周りの大人が子供たちを守らなければならないということもすっかり抜け落ちてしまうのです。
声を上げた人の戦いを簡単に終わらせないために、機運が高まっている今、考える時です。
少年少女たちがしたのは本当に同意なのか?その言葉の恐ろしさが身に沁みます。

『コンセント/同意』
8月2日(金)よりシネマート新宿ほか全国ロードショー

公式サイト:コンセント/同意 – 株式会社クロックワークス – THE KLOCKWORX
監督・脚本:ヴァネッサ・フィロ
脚本協力・原作:ヴァネッサ・スプリンゴラ(『同意』内山奈緒美:訳/中央公論新社刊)
脚本協力:フランソワ・フィロ 撮影:ギヨーム・シフマン
出演:キム・イジュラン、ジャン=ポール・ルーヴ、レティシア・カスタ、エロディ・ブシェーズ
2023年|フランス、ベルギー|フランス語|118分|シネマスコープ|5.1ch|字幕翻訳:横井和子
© 2023 MOANA FILMS – WINDY PRODUCTION – PANACHE PRODUCTIONS – LA COMPAGNIE CINEMATOGRAPHIQUE – FRANCE 2 CINEMA – LES FILMS DU MONSIEUR

 

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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