ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2024.05.12

サンデー早起キネマ『湖の女たち』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
5/12は、衝撃の映画体験が味わえる3本をご紹介。

1本目は、福士蒼汰さんと松本まりかさんがダブル主演のヒューマン・ミステリー
『湖の女たち』

原作は、ベストセラー作家・吉田修一氏の同名の小説。
『さよなら渓谷』以来、大森立嗣監督と10年ぶりのタッグが実現しました。

琵琶湖近くの介護療養施設、もみじ園で100歳の老人が不審な死を遂げました。殺人事件とにらんだ西湖署の若手刑事、濱中圭介とベテランの伊佐美は、容疑者と見なした当直の職員・松本への強引な追及を繰り返します。
その捜査の陰で圭介は妊娠中の妻がいながら、取り調べで出会った介護士、豊田佳代に歪んだ支配欲を抱き、佳代も極限の恐怖のなかで内なる倒錯的な欲望に目覚めていきます。
一方、東京からやってきた週刊誌の記者、池田は、17 年前にこの地域で発生した薬害事件を取材するうちに、もみじ園で死亡した老人が旧満州ハルビンにいたことを突き止めます。
時を超えて浮かび上がったその新たな謎は、いかなる真実を導き出すのでしょうか。
そして厳かに静まりかえった湖のほとりで、後戻りできないインモラルな関係に堕ちていく圭介と佳代の行く末は……。

道徳的な通念を踏み外していく2人のキャラクター、刑事の濱中圭介役は、福士蒼汰さん。介護士の佳代には、松本まりかさん。お二人の新しい一面に本当に驚きました。
福士さんは、「役者人生におけるターニングポイントと呼べる作品になった」、
松本さんは「あの強烈な映画体験は、生涯この身体から離れることはない」と話しています。
また、薬害事件のトラウマを引きずる圭介の先輩刑事、伊佐美役には、浅野忠信さん、そして、記者の池田役に福地桃子さん、犯人と目される介護士に財前直見さん、さらには三田佳子さんなど、錚々たるメンバーが湖の女たちを演じます。

介護施設での不審死事件を発端にした物語は、現在と少し前の過去、さらに戦時中と、思いもよらない歴史の扉を開いていきます。
そこには、いつの時代にも繰り返される生産性至上主義の優生思想に基づく非道な犯罪がありました。
脚本も担当した大森監督は、「“人間”と“生産性”という二つの言葉を、どんと並べてみると、グロテスクなイメージが湧き上がってくる。それだけを手がかりにして書いていた」と話しています。
“生産性”を追い求める社会の犠牲になってきた人たちがいる…過去も現在も変わらない、変わることができない人間の業の深さをつくづく思い知らされました。

登場人物の弱さと切なさ、愚かさと愛おしさ、汚れと純真…両方を持っているのが人間ですが、両面があることを忘れてはならないと、美しく静かな湖が語り掛けているようです。
「この世界は美しいのだろうか」…あなたはどう思いますか?

『湖の女たち』
 5月17日(金)全国公開

公式サイト:thewomeninthelakes.jp/
監督・脚本:大森立嗣
原作:吉田修一『湖の女たち』(新潮文庫刊)
2024/日本/カラー/DCP/5.1ch/シネスコ/141分
配給:東京テアトル、ヨアケ
©️2024 映画「湖の女たち」製作委員会

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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