ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2023.12.17

サンデー早起キネマ『ティル』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
12/17は、人の力に希望を見出せる傑作を3本ご紹介。

3本目は、1955年8月、アメリカ南部・ミシシッピ州で実際に起きた黒人少年「エメット・ティル殺害事件」、初の映画化。帰らぬ息子への愛を胸に、たった一人で社会に立ち向かった母親の勇気と正義の物語
『ティル』

夫が戦死して以来、北部シカゴの空軍で唯一の黒人女性職員として働くメイミーは、14歳の一人息子エメットと平穏な日々を送っていました。
エメットが休暇で、南部ミシシッピ州の親戚の家に滞在することになり、メイミーはしぶしぶエメットを送り出します。ミシシッピ州は黒人差別が特に厳しい土地、明るく好奇心旺盛で南部の恐ろしさを知らないエメットの行動が心配だったのです。滞在中、エメットは、白人夫妻が経営する飲食雑貨店で、店番をしていた美しい妻に向けて、こともあろうか口笛を吹いてしまったのです。それが引き金となり、その夜、エメットは何人もの男たちにさらわれ、壮絶なリンチを受けた末に川に投げ捨てられます。遺体が発見されたのは3日後のことでした。
我が息子の変わり果てた姿と対面したメイミーは、この陰惨な事件を世の中に知らしめるため、常識では考えられない“ある大胆な行動”を起こします。そんな彼女の姿は多くの黒人たちに勇気を与え、キング牧師らが率いた公民権運動、1964年の公民権法制定と、社会を動かす原動力となっていくのです。

息子を失った絶望を抱え、たった一人でアメリカ社会に立ち向かう母親メイミーは、ダニエル・デッドワイラーが熱演!圧巻という言葉がピッタリのパフォーマンスでした。
また、メイミーの母親でエメットの祖母アルマ役は、ウーピー・ゴールドバーグ。
プロデューサーも務める彼女は「この作品は、私たち全員にとっての教訓であり、戒めでもある。私たちは皆、公認の人種差別がなくなったと思いたいが、そうではない。だから、この映画は非常に重要だ」と話しています。

脚本・監督を務めたナイジェリア出身の黒人女性シノニエ・チュクウ監督が紡いだのは、息子を愛する一人の母親の愛と勇気の物語であると同時に、自由と人権を求めて世界を変えた一人の人間の魂の実話。
「エメット・ティル殺害事件」から60年以上の時を経た今でも、人種、性別、セクシュアリティなど、多様性に戸惑うこの世界で生きる私たちが見るべき物語です。

『ティル』
2023年12月15日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開

公式サイト:https://www.universalpictures.jp/micro/till
製作:ウーピー・ゴールドバーグ(『天使にラブ・ソングを…』)、バーバラ・ブロッコリ(『007 』シリーズ)
監督・脚本:シノニエ・チュクウ
出演:ダニエル・デッドワイラー、ウーピー・ゴールドバーグ、ジェイリン・ホール、ショーン・パトリック・トーマス、ジョン・ダグラス・トンプソン、ヘイリー・ベネット
2022年/アメリカ/シネマスコープ/ 130分/カラー/英語/5.1ch/原題『TILL 』
字幕翻訳:風間綾平/ PG-12/配給:パルコ ユニバーサル映画
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      ひろたみゆ紀

      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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