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9/3は、映像の美しさとストーリーの面白さに引き込まれる3本をご紹介。
3本目は、塗り物が繋ぐ父娘の絆に心が温かさで満たされる
『バカ塗りの娘』
“バカ塗り”ってご存知ですか?東北の方はご存知かもしれませんね。日本が誇る漆の“津軽塗”のことです。
完成までの工程は四十八もあり、“バカ丁寧”に塗って、“バカに手間暇かけて”、塗っては研ぎ、塗っては研ぎを繰り返すと、“バカに丈夫”と言われるほど何年も使える漆器が出来上がるのです。
舞台は、そんな津軽塗の産地、青森県弘前市。
主人公は、寡黙な津軽塗職人の父・清史郎を手伝う娘の美也子。今は二人暮らしです。
家族より仕事を優先してきた清史郎に愛想を尽かして母は家を出てしまい、兄のユウは、望まれながらも家業を継がず、美容師として自由に生きています。気づけば家族はバラバラに…。
実は美也子は、密かに父の後を継いで津軽塗り職人になりたいと思っていますが、時代と共に注文も減ってしまい、言い出せずにいました。
ある日、久しぶりの大量注文が入り、嬉々として手伝う美也子。そして、花屋で働く青年尚人との出会いをきっかけに、漆を使ってある挑戦をしようと決心します。しかし、父は津軽塗をやっていくことは簡単ではないと反対!それでも自分の想いを通す美也子。
やがて彼女の挑戦が、バラバラになった家族の気持ちを動かしていくのです。
美也子を演じたのは、映画にドラマに大活躍の若手女優・堀田真由さん。
父の清史郎は、小林薫さん。他に兄のユウは坂東龍汰さん、花屋の青年・尚人にKis-My-Ft2のメンバー宮田俊哉さん、お隣のおばちゃんに木野花さん。
みなさん、味があって静かな情熱を感じる素晴らしい演技でした。
高森美由紀さんの小説「ジャパン・ディグニティ」を原作にメガホンをとったのは、若手の注目株『まく子』の鶴岡慧子監督。
凍てつく寒さの白い冬、生き生きとした夏の緑、春は美しい花が咲き乱れ、秋は色づく林檎…と、青森の四季折々の美しい風景や、土地に根付く食材と料理、そこに生きる人々の魅力を織り交ぜて描く家族の物語は、とてもほっこり、温かな涙と優しい笑顔を運んでくれます。
そして、私はこの作品で津軽塗の美しさを知りました。塗の色、模様はもちろん、やはりバカ丁寧に塗る過程をバカ丁寧に撮影しているところがいいんです。
「一つ一つの工程をしつこく見せるぞ!」という思いで撮ったという鶴岡監督の津軽塗への愛情を感じました。
そして、後継者がいない、購入する人が少ないなど、日本の伝統工芸が抱える社会的な背景もしっかり見せてくれました。伝統工芸がどれだけの手間をかけて大切に作られているかを知ったら、何かが変わっていくと思わせてくれます。
喜びも悲しみも少しずつ何度も何度も塗り重ねていく人生は、バカ塗りと似ているかもしれませんね。
『バカ塗りの娘』
9月1日(金)シネスイッチ銀座ほか全国公開
青森県絶賛公開中
公式サイト:映画『バカ塗りの娘』オフィシャルサイト 9月1日公開 (happinet-phantom.com)
配給:ハピネットファントム・スタジオ
Ⓒ2023「バカ塗りの娘」製作委員会
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