おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
8/20は、豪華な俳優陣に目が釘付け!の3本をご紹介。
1本目は、ハプスブルク家最後の伝説的皇妃エリザベート。自由を渇望した彼女の知られざる心の軌跡
『エリザベート 1878』

ハプスブルク帝国が最後の輝きを放っていた19世紀末、“シシィ”の愛称で親しまれ、“ヨーロッパ宮廷一の美貌”と謳われたオーストリア皇妃エリザベート。
この作品は、あまり話題にされてこなかった後年40歳の一年間にスポットライトを当てています。

1877年のクリスマスイブに40歳の誕生日を迎えたエリザベート。
世間のイメージを維持するために、コルセットをできるだけきつく締め上げ、過度なダイエットと、乗馬やフェンシングなどスポーツで体型を維持していました。
一方で、厳格な宮殿のしきたりや公務に辟易し、さらには、姑のせいで子供達に愛情を注ぐことさえできず、夫である皇帝は姑の言いなり…ますます孤独を募らせていました。
人生に対する情熱や知識への渇望、若き日々のような刺激を求めて、イングランドやバイエルンを旅し、かつての恋人や古い友人を訪ね歩きます。
誇張された自身のイメージに反抗し、プライドを取り戻すために、彼女が思いついたある計画とは?

史実にとらわれない自由奔放な演出で伝説的皇妃のイメージを大きく覆し、若さ・美しさだけに存在価値を見出されてきた彼女の素顔を浮き彫りにしたのは、オーストリア映画界を代表する気鋭マリー・クロイツァー監督。脚本も書きました。
「彼女の苦しみの元となった世間からの期待の多くは、今日も女性に課され続けている。美しいということは、未だに最も重要で価値のある女性の特質とみなされているのだ」と話しています。
女性に期待されることは若く美しいこと…“平民なら40歳が寿命”といわれた19世紀末からおよそ150年経った今も、残念なことに本質は変わらないんですね。
だからこそ、現代を生きる私達、もがきながら生きている女性の心に響きますし、そんな女性の気持ちに気づいていない男性にも是非、ご覧頂きたいです。

そんな歳を重ねることで美貌の衰えを痛感するエリザベート役は、『ファントムスレッド』や『彼女のいない部屋』など、欧米を股にかけて活躍する実力派ヴィッキー・クリープス。
彼女が監督に本作のアイディアを持ち込んだというだけあって、素晴らしい圧巻のパフォーマンスで第75回 カンヌ国際映画祭「ある視点部門」で最優秀演技賞に輝きました。
老いに向き合い皇妃を縛りつけるコルセットや皇室の厳格な伝統、そして世間の理想像から自由になると心に決めた時、彼女は何を選び取るのでしょうか?

『エリザベート 1878』
8/25(金)より
TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下 ほか全国順次公開
公式サイト:https://transformer.co.jp/m/corsage/
監督・脚本:マリー・クロイツァー
出演:ヴィッキー・クリープス、フロリアン・タイヒトマイスター、カタリーナ・ローレンツ、マヌエル・ルバイ、フィネガン・オールドフィールド、コリン・モーガン
2022年/オーストリア、ルクセンブルク、ドイツ、フランス/ドイツ語、フランス語、英語、ハンガリー語/114分/カラー・モノクロ/2.39 : 1/5.1ch
原題:Corsage
配給:トランスフォーマー、ミモザフィルムズ
© 2022 FILM AG – SAMSA FILM – KOMPLIZEN FILM – KAZAK PRODUCTIONS – ORF FILM/FERNSEH-ABKOMMEN – ZDF/ARTE – ARTE FRANCE CINEMA

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