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2023.07.30

サンデー早起キネマ『インスペクション ここで生きる』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
7/30は、現代のアメリカを切り取った作品2本。

2本目は、新鋭監督が自身の半生を基に描いたあるホームレスの若者の切実な物語
『インスペクション ここで生きる』

アカデミー賞の作品賞に輝いた『ムーンライト』 や 『 エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス 』 ほか、 革新的な作品を続々と送り出してきた映画会社A24の待望の新作。
監督自身の実体験を基に描かれたホームレスの若者の切実な物語です。

舞台はイラク戦争に長期化の兆しが見え始めた2005年のアメリカ。
同性愛者であるため母に捨てられ、16歳からホームレス生活を強いられてきた青年フレンチは、社会からも見放され、自分の居場所を見つけるため、すがるような想いで海兵隊に志願します。
彼を待ち受けていたのは「一人前の軍人を作る」という大義名分の元課される度を越した過酷な訓練でした。
入隊の時の“インスペクション=検閲”は逃れたものの、ある日、同性愛者だということがバレてしまい、教官のシゴキはますます激しく、仲間たちからも陰湿な嫌がらせを受けるようになってしまいます。
壮絶な逆境に苦しむフレンチ。しかし「ここで逃げたら負けだ。僕が僕のままであるために。自分でこの場所にいる」と腹をくくり、自らの尊厳を守るため、他者からの理解を諦めず、困難に立ち向かっていくのです。
四面楚歌の環境で、自らの心にともる希望の灯を信じて…。

監督・脚本は、これが長編映画デビューのエレガンス・ブラットン。
海兵隊在職中に映像記録担当としてキャリアをスタートさせ、2019 年にマンハッタンの黒人クィアの人々を映したドキュメンタリー映画『 PIER KIDS(原題)』で各映画賞に輝きました。
自身の半生を描いたこの作品が、トロント国際映画祭でワールドプレミア上映されると、卓越した演出力やエモーショナルな人間ドラマの構築が各方面から絶賛されます。

フレンチ役は、俳優、歌手として活躍するジェレミー・ポープ。
演劇界のアカデミー賞、トニー賞で2つの部門にノミネートされるという史上6人目の快挙を成し遂げ、俳優としての評価を確立。映画初主演ながら、魂の熱演を見せてくれました。

自分の子どもを愛しながらも同性愛者だということを受け入れられない母との関係や、理不尽な上官のシゴキや仲間たちの嫌がらせに、心が痛みますが、それでも最後に、希望を持って清々しい気分になれるのは、フレンチの強さゆえだと思うのです。
そう!ブラットン監督自身です。彼は、自らの過去を振り返り「家族や仲間が味方でなかったとしても、私は決して、自分自身であることを諦めなかった」と話しています。
彼の想いが乗り移った“ただの若者”の勇気の物語は、“自分が自分を諦めないことが周りをも成長させうる”という奇跡を教えてくれます。

『インスペクション ここで生きる』
8月4日(金)
TOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館ほか全国公開

公式サイト:http://happinet-phantom.com/inspection/
監督・脚本:エレガンス・ブラットン(初長編監督作品)
出演:ジェレミー・ポープ、ガブリエル・ユニオン、ラウル・カスティーヨ、マコール・ロンバルディ、アーロン・ドミンゲス、ボキーム・ウッドバイン
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
2022年/アメリカ/カラー/シネマスコープ/ 5.1ch /95 分/ R15+/原題 THE INSPECTION
©2022 Oorah Productions LLC.All Rights Reserved.

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      ひろたみゆ紀

      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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