ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2023.06.25

サンデー早起キネマ『山女』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
6/25は、躓いても転んでも、諦めずに頑張る主人公の姿に涙が流れる3本をご紹介。

2本目は、江戸時代中期の東北の村を舞台に、過酷な運命に翻弄されながらも逞しく生きる少女の物語『山女』

監督は、これが長編3作目、国際舞台で活躍する福永壮志氏。
柳田国男の「遠野物語」に収められた民話に着想得て、NHKの朝ドラ「らんまん」の脚本を手がける
長田育恵氏と共にオリジナルストーリーを作り上げました。

舞台は、未曾有の大飢饉に見舞われた18世紀後半の東北の村。
先代の罪を背負い卑しい身分に貶められた家の娘17歳の凛は、村の人々から蔑まれながらも、一生懸命働き、逞しく生きています。
ある日、父親・伊兵衛が、村中を揺るがす事件を起こしてしまします。父の罪を被った凛は、自ら村を出て、入ることを禁じられている山奥の神聖な森へ向かいました。
そこで凛が目にしたのは、真っ白な長い髪と髭をたくわえた、伝説の存在として恐れられる“山男”。凛は山男と心を通わせながら、今まで味わったことのない“生きている実感”に目覚めていきます。
その頃、村では作物が育たず、村人たちはいよいよ窮地に追い込まれていました。村の巫女お婆が口にしたお告げは、「若い娘を生贄として天の神様に捧げよ」。
そんな時、“山女”の目撃情報が入ります!凛の運命やいかに?

凛を演じたのは、山田杏奈さん。理不尽な逆境をも運命として受け入れ、自分の生き方に目覚めていく凛を、瞳の輝きと大地に根付いたような存在感で演じきりました。
野蛮でありながら神聖な存在“山男”になりきったのは、森山未來さん。一言もセリフがない、表情さえもほとんどないという難しい役どころを眼差しと身体だけで表現しました。
他に、永瀬正敏さん、二ノ宮隆太郎さん、三浦透子さんなど、確かな演技力が集いました。

長年アメリカで暮らしていた福永監督は、「日本社会には女性差別や同調圧力、和を乱すものが弾かれる村社会的な風潮がまだまだ残っている」といいます。
本当に、大飢饉をもたらす自然の驚異を前に、なぜ、無力な人間たちが酷い差別をするのか…前半はあまりの理不尽に、はらわたが煮えくり返りそうになりました。
そんな村を出て、自然の中で山男と出逢い、凛が自由と自分らしさを見つけていく過程は、新鮮な驚きでドキドキしました。凛役の山田さんが「休憩時間に木の上で寝ていた」と明かしていますが、森山未來さんの山男が凄すぎて目が離せませんでした。
自分らしく生きること。人間らしさとは何なのか。あらゆる局面で多様性が問われつつある今、凛の物語と彼女が下した決断が私たちの明日に響きます。

『山女』
6⽉30⽇(⾦)より全国順次公開

公式サイト:https://yamaonna-movie.com/
⼭⽥杏奈 森⼭未來 ⼆ノ宮隆太郎 三浦透⼦ 永瀬正敏
監督:福永壮志『リベリアの⽩い⾎』『アイヌモシㇼ』
脚本:福永壮志 ⻑⽥育恵
2022年/⽇本・アメリカ/98分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
配給:アニモプロデュース
©YAMAONNA

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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