おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
4/9は、主人公に釘付け!4/14公開の3本をご紹介。
3本目は、フランスの文豪バルザックの小説を映画化!
今と同じようにフェイクニュースがはびこっていた200年前の社会派人間ドラマ
『幻滅』
メガホンを取ったのは、バルザックの原作の映画化を学生時代から望んでいた『偉大なるマルグリット』などのグザヴィエ・ジャノリ監督。
この作品は、フランスのアカデミー賞といわれるセザール賞で、作品賞、最優秀助演男優賞など最多7冠を受賞しています。
舞台は19世紀前半。恐怖政治の時代が終わり、フランスは宮廷貴族が復活、自由と享楽的な生活を謳歌していました。
詩人としての成功を夢見る田舎の純朴な青年リュシアンは、貴族の人妻ルイーズと駆け落ち同然で
パリにやってきますが、世間知らずで無作法な彼は社交界では笑い者に。
ルイーズにも捨てられてしまい、生活のためになんとか新聞記者の仕事にありつきます。
人々を啓蒙する記事を書くつもりでしたが、同僚たちは恥も外聞もなく、金のために魂を売る始末。
本を読みもせずに書評を書き、芝居が上演される前から褒めるかけなすかを決めている…褒めるかけなすかはお金次第!新聞は人々が望む情報を売る店、記事はでっちあげるものだ!
そんな考えの同僚たちに感化され、当初の目的を忘れたリュシアンは、 貴族への復讐心とお金のために記事を書き、欲と快楽にまみれた世界に身を投じていきます。
打算的な人々が集まり、生き馬の目を抜くようなパリの都とマスメディアの世界。果たしてリュシアンはこの荒波を乗り越えることができるのでしょうか?
リュシアンを演じたのは、『Summer of 85』で日本でも注目されたバンジャマン・ヴォワザン。
初のコスチューム劇でしたが、監督が「映画向きの肢体にカメラに好かれる視線といった“不公平な天賦の才”がある」というだけあって、19世紀の衣装が良くお似合いです。詩を愛する純朴な文学青年が、野心と欲望に惑わされ堕落していく姿を見事に演じました。
19世紀当時の貴族たちのきらびやかな衣装やゴージャスな装飾、対照的な田舎の自然の美しさ…と
色鮮やかな映像が本当に美しいです。そして、沢山の人が集まる花の都パリにふさわしいスピーディな展開にまるで踊らされているよう。
なんでもお金で手に入り、フェイクニュースやステルスマーケティングまで横行していたこの時代。SNSで情報が錯綜する現代と何が違うのでしょうか?今も昔も変わらない人間の本性なのでしょうか…風刺にとんだ極上のエンターテインメントを是非お楽しみください。
『幻滅』
4月14日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿ピカデリー、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開
公式サイト:www.hark3.com/genmetsu
2022年/フランス映画/フランス語/149分/カラー/5.1chデジタル/スコープサイズ/原題:Illusions perdues/レイティング:R-15/配給:ハーク
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