おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
1/8は、各国から届いた新春にふさわしい3本をご紹介。
3本目は、この方なくして映画の醍醐味はなかったでしょう。
生涯500曲以上の映画とテレビの音楽を作曲した天才の最期の5年間に密着、希少映像で綴る圧倒的音楽ドキュメンタリー
『モリコーネ 映画が恋した音楽家』
例えば、1964年の映画『荒野の用心棒』のテーマ曲。
この曲は、従来の映画音楽と違って「音で絵を描く、セリフに代わり音楽にストーリーを語らせる」と絶賛され、イタリア製西部劇“マカロニウエスタン”ブームを加速させました。
モリコーネが映画音楽に関わり始めた時代は、なんと「クラシックより下」だと思われていたんです。今ではとても信じられませんが、そんな中彼は、口笛や民族楽器など斬新なアイディアで今までにない音楽を作り、世界中の映画音楽に多大な影響を与え、その地位の向上に一役買いました。
しかし一方で、アカデミックな音楽家が商業音楽を書くことに対して批判的なこともあり、モリコーネは「自分は裏切り者だ」と苦悩してもいたんですよね。
実はこの名曲をモリコーネ本人は“駄作”だと思っているんです!
こんな風にモリコーネがわかるこの作品は、彼の最期の5年間に密着した貴重な彼自身の映像、そして、クリント・イーストウッド、クエンティン・タランティーノ、ウォン・カーウァイ、オリバー・ストーンなどの巨匠たちや、ブルース・スプリングスティーン、ジョン・ウィリアムスなどのアーティストや著名人、70人以上のインタビューで綴られています。
監督は、「ジュゼッペ以外はダメだ」とモリコーネ自身が指名したジュゼッペ・トルナトーレ。言わずと知れた日本人が大好きな映画『ニュー・シネマ・パラダイス』の監督です。彼の前だからこそ、生い立ちから始まる半生を赤裸々に回想し衝撃の事実を告白したりしています。奥様とのお話は可愛くて大好きです。
実はこの作品157分、2時間37分という大作なのですが、まったく長さを感じません。
あの曲はこんな風に作られたんだ、あの頃こんなことを経験していたんだ…など、彼の人生や仕事ぶりを目の当たりにするとドキドキ。
改めて思うと、それだけ、映画音楽が自分の生活の中に入り込んでいたということなんですよね。
モリコーネの音楽を聴くだけで、その映画を観た時のこと…どこで、誰と、観た後の景色まで思い浮かんでくる作品もあって、そんな音楽を作ってくれたマエストロに感謝の気持ちが湧いてきます。
壮大な彼の人生を描いた愛と幸福に満ちたドキュメンタリーは、伝記を一冊読んだような充実した気分にしてくれます。
『モリコーネ 映画が恋した音楽家』
2023年1月13日(金) TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国順次ロードショー
公式サイト:https://gaga.ne.jp/ennio/
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ『ニュー・シネマ・パラダイス』『海の上のピアニスト』
出演:エンニオ・モリコーネ、クリント・イーストウッド、クエンティン・タランティーノ、ベルナルド・ベルトルッチ、ウォン・カーウァイ、ハンス・ジマー、ほか
原題:Ennio/157分/イタリア映画/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/字幕翻訳:松浦美奈/字幕監修:前島秀国
配給:ギャガ
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