おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
1/1は、お正月にふさわしい邦画と、映画祭をご紹介します。
1本目は、1年のスタートにふさわしい役所広司さんの迫力の演技が堪能できる作品。
国籍・文化・境遇の違いを超えて《家族》を作ろうとする人々の感動の物語
『ファミリア』
陶器職人の神谷誠治は、早くに妻を亡くし、山里で一人で暮らしています。
一流企業のプラントエンジニアとしてアルジェリアに赴任している一人息子の学が、難民出身のナディアと結婚し、彼女を連れて一時帰国しました。学は、近い将来会社を辞め、父の焼き物の仕事を継いで一緒に暮らしたいと考えています。
そんな学の幸せを心から願う誠治のもとに、ある日、衝撃のニュースが届きます。
一方、隣町の団地に住む在日ブラジル人青年マルコスは、半グレ集団に襲われた時助けてくれた誠治に亡き父の面影を重ね、焼き物の仕事に興味を持ち始めます。
やがてマルコスが窮地に陥り、誠治は、思いもよらない行動にでるのです……。
陶器職人の誠治と、海外で活躍する彼の息子、そして誠治が知り合う在日ブラジル人。今を生きる3人の関係を軸に、独自の視野から家族という普遍的なテーマに挑んだ感動作。
なんといっても、誠治役の役所広司さんにグイグイ引き込まれます。
焼き物と対峙する真摯な姿…粘土を捏ねたりろくろを回したり、本当に上手なんですよ。そして、口下手で不器用、思いをうまく伝えられないけれど、あふれ出る幸せを願う温かい想い。その想いが思いがけない行動に繋がっていくわけですが、切なくて感動して何度も涙が流れました。
そんな誠治の息子・学を演じたのは、暖かなほっこりした空気に包まれた吉沢亮さん。お父さんの思いをしっかり受け止め、真っすぐに育った美しい心、その透明感が抜群でした。
他に、佐藤浩市さん、松重豊さん、中原丈雄さん、室井滋さんなどが脇を固めています。
半グレのリーダー役は、存在感が際立つギタリストMIYAVIさん。オーラが強烈でした。
また、マルコスをはじめとしたブラジル人は、オーディションで選ばれた在日ブラジル人たち。
演技は初経験ですが、当事者ならではの存在感を放っています。
「演技の上手い下手ではなく、《日本人にもなれない、ブラジル人でもない、俺らってなんなんだよ!》って叫べる子ならマルコスを演じられるんじゃないか、それが大きな基準でした」という成島出監督。
現在およそ280万人の外国人が暮らす日本。他人事ではすまされない沢山の出来事がこの映画に詰まっています。
土と炎を観てきた誠治が、外国にいる息子や隣人であるブラジル人を通して世界と繋がっていくように、私たちもこの映画を通して、自分も世界を構成している一員なのだと自覚させてくれます。
この映画を観た後に見える世界の景色が変わるかもしれません。だからこそ、2023年の最初にご覧頂きたいのです。
『ファミリア』
2023年1月6日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
公式サイト:映画『ファミリア』公式サイト (familiar-movie.jp)
配給:キノフィルムズ
©2022「ファミリア」製作委員会
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