おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
10/16は、三者三様の個性が光る人間模様を描いた邦画3本をご紹介。
3本目は、現代の木樵、林業に焦点を当て、山の守り人に密着したドキュメンタリー映画
『木樵』
日本は国土の7割が山、山地であると社会の時間に習ったのは小学校だったか、中学だったか…私は田舎育ちなので、随分山で遊びましたが、山というものを全く知らなかったんだと、この作品を観てつくづく思いました。
監督は、9割が山林に覆われる岐阜県飛騨地方出身の宮﨑政記氏。
父親が林業を営んでいた監督は、不況で父の後を継ぐことを断念、映画の世界に進みます。
そして30年後、父への憧れを胸に山に帰郷し、そこでおよそ50年間、父と同じ林業の仕事で生計を立てている面家一男さんと弟の瀧根清司さんに出会います。
彼らの仕事は木を伐採し出荷すること。機械化が進んだ近年は、林道を作り、機械を現場に入れて木を伐りだすことが多いのですが、兄弟は林道を作りません。山が荒れるからです。それを避けるため、太いワイヤーを駆使して架線を作り、木材を吊るして数百メートル上から運び下すのです。彼らだけの方法です。
「木を伐ることは誰でもできる。問題は伐った木を土場まで出す技術で、俺たちはそれを持っている」という2人の顔は、仕事へのプライドで輝いています。
この作品は、彼らの仕事を映像に残したいと願った監督が、兄弟とその家族、彼らの背中を見て育つ弟子たちの日常を1年に渡り追いかけた記録なのです。
ナレーションは、俳優の近藤正臣さん。淡々としながらも温かな声が胸に届きます。
監督は「令和のこの時代にこんな山仕事をしている人がいるんだと知って欲しい。山を放置したままだと木は倒れるし、手入れをしないと山は荒れる。“木樵は山を守っているんだ”ということも知って欲しい。」と話しています。
美しい自然が残る飛騨の山々に響くのは、山の守り人たちが黙々と操るチェーンソーの音。ギューッと泣くように木が倒れていく湿り気を帯びた音。山が再生されていく音です。
邪魔な木を間伐し、育て、木を伐り出した後には、苗木が植えられ、次の世代に伐採が託されます。何年も、何十年も先まで…林業が森の循環を担っているのですね。雨が降り、山に蓄積され、緑を育み、川となって海に流れ出る…自然の営みは、ここから始まっているんだと、その山が林業を必要としているんだと実感できます。
兄弟が働く姿を通して、森林を守る林業について、そして森林と共に生活する山の暮らしを描く作品。山を見上げる時の思いがきっと変わると思います。
『木樵』
10月14日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
公式サイト:http://kikori-movie.com/
カラー/81分/ビスタ/2chステレオ/日本
配給:平成プロジェクト
©2021「木樵」製作委員会
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