おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
10/2は、スクリーンから圧倒的な魅力が溢れる主人公たちの物語を3本ご紹介。
3本目は、涙が止まりませんでした。末期のがん患者を通して、死ぬこと、生きることをストレートに考えさせられる作品
『愛する人に伝える言葉』
脚本・監督は、女優として活躍しながら作品を撮り続けているエマニュエル・ベルコ。ニューヨークで活躍するガン専門医ガブリエル・サラとの出会いがこの作品を作る原動力になりました。
若手俳優に演技を教えているバンジャマンは、人生半ばですい臓がんを宣告され、母のクリスタルと共に、業界でも名医として知られるドクター・エデの元を訪れます。2人は彼に一縷の望みを託すのですが、エデは真実を告げます。
「ステージ4のすい臓がんは直せない」と。
ショックのあまり自暴自棄になるバンジャマンに、エデは、病状を緩和して生活の質を維持するために化学療法を提案。「一緒に進みましょう」と励ましてくれます。
ドクター・エデに助けられ、クリスタルは息子の最後をできる限り気丈に見守ることを心にきめるのですが……。
クリスタルを演じたのは、フランスを代表する名女優カトリーヌ・ドヌーヴ。
そして、バンジャマン役は、この作品でセザール賞最優秀主演男優賞を受賞した演技派ブノワ・マジメル。
末期のすい臓がんで死を目前にした立場の違う2人の心情が痛いほど伝わってきます。
そんな患者本人と家族に、真実だけを話し、独特の愛に溢れた緩和治療で温かく寄り添うエデ医師。驚くべきことに、監督がニューヨークで出逢ったガン専門医ガブリエル・サラ本人が演じているのです!バンジャマンやクリスタルにかける言葉は、彼がいつも患者に話していること、彼の独特の緩和療法は彼の病院で実際に施していることなのです。だから嘘がありません。
登場する看護師なども、1人、2人の例外を除いて、ほとんどが実際の病院のスタッフなのです。
どのようにしたら、患者が死と穏やかに向き合えるのか、家族が安らかに見送ることができるのか…音楽療法を取り入れ、歌ったりダンスをしたり、一つ一つの気遣いが、病院全体を包み込む温かな雰囲気に育っているのです。私もいつかその時が来たら、エデ先生に診て頂きたいと心から思いました。
日本ではあまり聞いたことがないスタイルの終末医療の在り方についても考えさせられました。
真っ向から死を取り上げている作品ですが、ただのお涙頂戴ではありません。
絶対にその時はやってくる、誰もが避けられない死と向き合うことは、生と向き合うことになるのです。
“より良く死ぬことは、より良く生きること”。この作品には、今は死と向き合っていなくても、少しでもその時のための準備ができるような魔法の言葉が沢山詰まっています。
人の命は重い、その重さを受け止め大泣きした後に、前を向いて生きて行くための爽やかな力が湧いてきます。
『愛する人に伝える言葉』
10 月 7 日(金) 新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座 他全国ロードショー
公式サイト:「愛する人に伝える言葉」公式HP (hark3.com)
配給:ハーク/TMC/SDP
© 2021 – LES FILMS DU KIOSQUE – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINÉMA
– SCOPE PICTURES. PHOTOS: LAURENT CHAMPOUSSIN.
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