ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

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2022.07.10

サンデー早起キネマ『ボイリング・ポイント/沸騰』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
7/10は、ドキュメンタリーではないのに、ドキュメンタリーのようなリアリティある作品を3本ご紹介。

3本目は、もう自分がその場にいるとしか思えない驚きの臨場感!嘘でしょ?90分全編ワンショット映像で綴る“あるレストランの一夜”
『ボイリング・ポイント/沸騰』

舞台は、ロンドンの人気高級レストラン。クリスマス前の金曜日で予約はぎっしりです。
妻子と別居し事務所で寝泊まりするオーナーシェフのアンディは、ストレスで疲れ切っていました。仕事に集中できず、衛生管理チェックや食材の発注を怠り、自ら危機を招いています。
オープンと共に多くの客が押し寄せ、店内はすべてが目まぐるしく動き始めます。
そこに因縁のライバルシェフ・アリステアがグルメ評論家を連れて来店!プレッシャーです。さらに、厨房とフロア係の罵り合いが起きて気まずい雰囲気が漂います。そして、アリステアから脅迫まがいの取引を持ちかけられたと思ったら、突然、女性客がアレルギー発作で倒れ救急車で運ばれる騒ぎに!その原因の元を質せば…アンディでした。唯一、厨房で助け庇ってくれていた副料理長のカーリーにまで愛想をつかされてしまいます。
密かにアルコールに依存しているアンディは身も心もすでに限界点を超えていました。
なぜこんなことになってしまったのか?アンディは無事に一夜を乗り越えられるのでしょうか?

最初から最後まで手持ちカメラ一台、ノー編集にノーCG!
料理を作る厨房のシェフたちと、奥で働くお皿を洗う人やパティシエたち、そしてフロアで働く人々…彼らがレストラン内を行ったり来たりし、すれ違うと、カメラが追う人物がバトンタッチ、その人物の物語が始まるのです。働く人は総勢14人!さらにお客さんも絡んできます。
実在のレストランで撮影されたこの作品、狭い中でカメラとバッテリーを背負ってスイスイと動き回る撮影監督のマシュー・ルイスの苦労は推して知るべし。プロの技に脱帽です。

監督は、自身も12年間シェフとして働いた経験があるフィリップ・バランティーニ。「レストラン業界内で起きているうつ病、薬物乱用、人種差別、ハラスメント、同性愛嫌悪など、改革を必要としている問題を、労働者たちに敬意をもって忠実に伝えることができた」と話しています。仰る通り、ジェットコースターのごときスピードで、ものの見事にすべてを描き切りました。
「登場人物たちのちょっとした会話や仕草や表情でその人がわかる」という素晴らしい体験をしました。

そして何より、全部で8回予定されていた撮影は、コロナウィルスでロンドンがロックダウンされたため、2日間で撮り切ったというのです。90分、誰かがNGを出したらと思うとゾッとします。凄まじい緊張感の中で行われた撮影と、緊張感に満ちたレストランの雰囲気が重なります。

ステキな空間でおしゃべりを楽しみながら美味しい料理に舌鼓を打つ…そんなレストランも、働く人たちにとっては全く別の顔を持っている場所なんですね。
大好きなレストランという場所に対し、さらに尊敬の念が強くなりました。

『ボイリング・ポイント/沸騰』
7/15(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開

公式サイト:映画『ボイリング・ポイント/沸騰』公式サイト (cetera.co.jp)
製作・監督・脚本:フィリップ・バランティーニ 
出演:スティーヴン・グレアム『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』『アイリッシュマン』、ヴィネット・ロビンソン「SHERLOCK/シャーロック」、レイ・パンサキ『コレット』、ジェイソン・フレミング『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』、タズ・スカイラー「ONE PIECE」
原題:BOILING POINT/ 2021/イギリス/英語/95分/配給:セテラ・インターナショナル/PG12
© MMXX Ascendant Films Limited

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      ひろたみゆ紀

      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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