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7/10は、ドキュメンタリーではないのに、ドキュメンタリーのようなリアリティある作品を3本ご紹介。
2本目は、こんなご時世だからこそご覧頂きたい胸が締め付けられる作品。
戦後のレニングラードで、生と死の闘いを続ける元・女性兵士たちの物語
『戦争と女の顔』
監督は、今年31歳のカンテミール・バラーゴフ。
2015年にノーベル賞文学賞を受賞したスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチのノンフィクション「戦争は女の顔をしていない」に触発されてこの作品を作りました。
「女性として命を与えるはずの人が、戦争の試練を乗り越えた後どうなるのか」という問いに答えを見出したかったといいます。
古今東西、戦争を描いた作品は沢山ありますが、戦後も続く女性の闘いを描いた作品は稀ですよね。
第72回カンヌ国際映画祭のある視点監督賞など2部門を受賞しました。
舞台は1945年、終戦直後のレニングラード。
第二次世界大戦のドイツとの戦いで街は荒廃し、市民は心身ともにボロボロ。史上最悪の包囲戦が終わったものの、残骸の中で生と死の戦いは続いていたのです。
多くの傷病軍人が収容された病院の看護師イーヤは、突然固まり動けなくなってしまうというPTSDの発作に悩まされながら、パーシュカという幼い男の子を育てています。ある日、二人でふざけていた時、発作を起こし固まってしまい、パーシュカを失ってしまいます。
そこにパーシュカの本当の母親であり、高射砲兵として共に戦った戦友のマーシャが帰還。彼女もまた、戦争で負った傷や後遺症を抱えていました。
2人の若き女性イーヤとマーシャは、廃墟の中で自分たちの生活を再建するための闘いに意味と希望見出すのですが…。
「戦争は女の顔をしていない」の中では、「戦地から帰ってきた男性は英雄になれるが、女性は“戦地妻”とみなされ差別された」と証言されているそうです。
ああ、そういうことなのか…武器を使った実際の戦争が終わった後に始まる“別の闘い”があるのだと胸が締め付けられる思いがします。
この作品はきちんと時代考証されていながらも、美術も衣装もカラフルでどこかモダンな雰囲気。1945年を描いているのに、今も通じる普遍性を感じます。
反戦争はもちろん、貧富の差やジェンダー、安楽死など、今もずっと続いている問題も描かれています。
そう、あんな大きく辛い大戦を経験していながらも、なぜ今も戦争は続いているのでしょう。どうして人は学ぶことができないのでしょうか?二人の若い女性の深い瞳に突き付けられているようです。
『戦争と女の顔』
7月15日(金)、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、全国順次ロードショー!
公式サイト:映画『戦争と女の顔』公式サイト (dyldajp.com)
配給:アット エンタテインメント
© Non-Stop Production, LLC, 2019
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