おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
3/13は、舞台も時代も違いますが、鬱屈した気分が蔓延する今、ご覧頂きたい3本をご紹介。
2本目は、ほぼ全編犬の目線で撮影された驚きのドキュメンタリー
『ストレイ 犬が見た世界』
舞台は、ヨーロッパとアジアを繋ぐエキゾチックな文化にあふれるトルコ・イスタンブールの街。
実はトルコは、20世紀初頭の大規模な野良犬駆除という悲しい歴史への反省から、安楽死や野良犬の確保、虐待が違法となり、殺処分ゼロの国なのです。ここではまるで風景に溶け込むように、自然に人間と犬が共存しています。
作品に登場する犬は、自立心が強くいつも単独行動の気高いゼイティン。
フレンドリーで人懐っこく街ゆく人たちに挨拶を欠かさないナザール。
そして、シリア難民の心の拠り所になっている愛らしい子犬のカルタル。
ほぼ全編、彼らの目線と同じローアングルで撮影され、ごく普通の街の風景も新鮮です。ナレーションもなく、聞こえてくるのは、街の喧騒とその一つとしての人間たちの会話。彼らの視点で街を見渡せば、人間社会の様々な問題と愛に満ちた世界が同時に見えてくるのです。
家もない、飼い主もいない犬たちは、日本でいえば“野良犬”“野犬”なんですが、彼らはその言葉が持つイメージとは随分違います。人懐っこくて、危害を加えることはありません。つかず離れず、人との距離感が絶妙なのです。
特に、互いに支え合うシリア難民の子供達と犬との絆は、疑似家族といえるものかもしれません。
彼らの姿を通して人間社会の問題点が浮き彫りになっていきます。
ずいぶん昔、イスタンブールに一度だけ行ったことがあります。その時は犬もいたと思いますが、猫の印象の方が強かったです。そして、人々がとてもフレンドリーで、街は活気にあふれていました。この作品の中にも訪れた場所が何か所もでてきて、とてもうれしかったです。
犬たちの目を通してイスタンブールの街を楽しむことができるのも、この作品の魅力の一つです。
何より、この作品を見て気づかされたのは、「知性をもってこの世界で暮らしているのは人間だけじゃないんだ」ということ。犬たちも他の動物たちも、それぞれの知性をもってこの地球で暮らしているんですよね。
そのことに気づいたら、見えてくるものもあるのではないでしょうか?
そのうえで見た最後の長回しのシーン…ジーンと来ました。
『ストレイ 犬が見た世界』
2022月3月18日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開
公式サイト:https://transformer.co.jp/m/stray/
監督:エリザベス・ロー
出演:ゼイティン、ナザール、カルタル(犬たち)ほか
2020年/アメリカ / トルコ語・英語 / 72分 / ビスタ / カラー / PG-12
日本語字幕:岩辺いずみ
原題:STRAY
配給:トランスフォーマー
© 2020 THIS WAS ARGOS, LLC
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