ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2022.02.06

サンデー早起キネマ『再会の奈良』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
今朝は、日本を舞台にした感動作を2本ご紹介。

1本目は、中国の新鋭ポンフェイ監督が脚本も手掛けた作品。
中国残留孤児と中国で育ててくれた養母・母と娘の60年にわたる「絆」
中国と日本の戦争の歴史を今に伝え、問いかける
『再会の奈良』

舞台は2005年の奈良・御所市。中国残留孤児の父が再び中国に帰った後も日本に留まった娘シャオザーは、昼も夜も一生懸命働いています。
ある日、血のつながりはないもののシャオザーが祖母のように慕う中国人の陳おばあちゃんが、シャオザーを頼って一人奈良にやってきます。おばあちゃんは、1994年実の親を探すため日本に帰った中国残留孤児の養女・麗華と数年前から連絡が取れなくなり、心配して探しに来たのです。
おばあちゃんとシャオザーに、ひょんなことで出会った元警察官の一雄が加わり、麗華の行方を捜すために奈良の街を訪ね歩く3人の旅が始まります。
麗華は今、どこで何をしているのでしょうか?日本の実の親に会うことはできたのでしょうか?
そして、陳おばあちゃんと麗華は再会できるのでしょうか?

日本と中国という二つの国の狭間で悩むシャオザーを演じたのは中国の若手女優イン・ズーさん。
陳おばあちゃんは、中国映画に欠かせないウー・イエンシューさん。このコーナーでもご紹介した『チィファの手紙』や『花椒の味』でも大活躍。凛とした強さと温かさが同居、ユーモアあふれる演技も忘れられません。
そして、妻に先立たれ娘も独立、一人暮らしの元警察官、一雄役は國村隼さん。言葉は通じない陳おばあちゃんと心を通わせていく様子につい笑みがこぼれます。
ほかにも重要な役どころを永瀬正敏さんが演じています。

中国残留孤児は1980年後半をピークに多くの方が1990年代に帰国しました。その頃はよく報道もされていましたよね。小説やドラマにもなりました。2000年代になると帰国者も減り、ニュースで取り上げられることも少なくなりました。
でも、今でも多くの問題が残っています。そんな一端をこの映画で知ることができます。
戦争の傷跡と遺恨、重い題材ではありますが、お茶目でとてもユーモラスなおばあちゃんと、3人が触れ合うユニークな地元の人たちとの掛け合いにクスっと笑ってしまう場面も多々あります。
時代に翻弄され苦しんできた市井の人々と今も続く問題、そして格差や孤独など新たな時代の課題…身につまされます。だからこそ、この作品を見てみんなで考えていきたいと思いました。
ラストシーンはただただ涙が流れます。
ご当地映画ならではの奈良の魅力も見どころの一つです。

『再会の奈良』

2/4(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開 / 1/28(金)より奈良県にて先行上映

公式サイト:http://saikainonara.com

出演:國村隼、ウー・イエンシュー、イン・ズー、秋山真太郎、永瀬正敏
脚本・監督:ポンフェイ 
エグゼクティブプロデューサー:河瀨直美、ジャ・ジャンクー
撮影:リャオ・ペンロン 音楽:鈴木慶一 編集:チェン・ボーウェン
照明:斎藤徹 録音:森英司 美術:塩川節子
共同製作:21インコーポレーション 
製作:© 2020 “再会の奈良” Beijing Hengye Herdsman Pictures Co., Ltd, Nara International Film Festival, Xstream Pictures (Beijing)
後援:奈良県御所市 配給:ミモザフィルムズ
中国、日本 / 2020 / 99分 / カラー / 日本語・中国語 / DCP / 1:1.85/ Dolby 5.1 英題:Tracing Her Shadow 中題:又見奈良

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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