ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

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2022.01.30

サンデー早起キネマ『クレッシェンド 音楽の架け橋』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
1/30は、3本をご紹介。

1本目は、世界が喝采!実話から生まれた感動作
『クレッシェンド 音楽の架け橋』

「世界で最も解決が難しい」とされ、今も敵対するパレスチナとイスラエルから若者たちを集めてオーケストラを結成し、平和を祈ってコンサートを開こうという壮大な物語。
その企画を引き受けた世界的指揮者のスポルクは、イスラエルのテルアビブでオーディションを行います。
パレスチナ側からは、家族の反対や厳しい軍の検問を乗り越えて、若者たちが集まりました。
そして、20数人の若者たちがオーディションを勝ち抜き、音楽家になるチャンスをつかみます。
しかし、いざ一緒に演奏をするという段になると、戦車やテロの攻撃にさらされ憎みあう両陣営は、激しくぶつかり合ってしまいます。
そこでスポルクは、彼らを南チロルでの21日間の合宿に連れ出すことに。
寝食を共にし、お互いの音に耳を傾け、経験を語り合い…少しずつ心の壁を溶かしていく若者たち。
ようやく心が一つになったのに、コンサートの前日、思いもよらない事件が起きてしまうのです。

この作品の監督・脚本は、幼い頃から紛争に関心を持ってきたイスラエル人のドロール・ザハヴィ監督。
実在するユダヤ・アラブ混合の“ウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団”にヒントを得て
作りました。このオーケストラは、ユダヤ系指揮者ダニエル・バレンボイムと、パレスチナ系文学者のエドワード・サイードが、中東の障壁を打ち破ろうと1999年に設立し、現在も活動を続けています。

作品の中で、「この楽団がコンサートを開くことはSFだ」というセリフがありますが、監督は、「なぜ現実ではなくSFなのか、この作品がそれを話し合うきっかけになる」といいます。
「前進するために何ができるのか?映画を通して問いかけている」と。そうなんです。「相手が悪い」「相手が攻撃してくるからこっちもするんだ」と、お互いに銃を向けてばかりでは何も始まりません。
本当の敵は、対立している相手ではなく、理解するための一歩を踏み出そうとしない自分自身なのではないか?と問いかけられているようです。

以前、このコーナーで『テルアビブ・オン・ファイア』という作品をご紹介しましたが、あの時はドラマで今回は音楽…敵対する人々の心をつなぐ架け橋になるのは“芸術”なのかもしれない、という可能性を感じます。
クレッシェンドは、小学校の音楽の時間に習いましたが、“だんだん強く”という意味です。
不安がだんだん強くなっているこの世の中で、平和を願う人々の思いや声が、だんだん強くなることを祈ってこの作品を紹介しました。
争いを乗り越える演奏がここにある!こんなに泣けるボレロを聴いたのは初めてです。

『クレッシェンド 音楽の架け橋』

2022年1月28日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開

公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/crescendo/

2019年/ドイツ/英語・ドイツ語・ヘブライ語・アラビア語/112分/スコープ/カラー/5.1ch/原題:CRESCENDO #makemusicnotwar/日本語字幕:牧野琴子/字幕監修:細田和江
監督:ドロール・ザハヴィ
脚本:ヨハネス・ロッター、ドロール・ザハヴィ
出演:ペーター・シモニシェック(『ありがとう、トニ・エルドマン』) 
ダニエル・ドンスコイ (「ザ・クラウン」「女王ヴィクトリア 愛に生きる」)
サブリナ・アマーリ
配給:松竹
© CCC Filmkunst GmbH

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      ひろたみゆ紀

      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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