ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2021.12.05

サンデー早起キネマ『成れの果て』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
12/5は、思いもよらない結末を迎える衝撃の作品を3本、ご紹介。

2本目は、人間の負の感情が生み出す極限の人間ドラマ
『成れの果て』

原作は、劇作家・映像作家のマキタカズオミ氏が主宰する劇団elePHANTMoonが2019年に上演、当時の小演劇界の話題を席巻した舞台。
その人間がぶつかり合うエネルギーを映画化したいとメガホンをとったのが、宮岡太郎監督です。

主人公は、ファッションデザイナーの卵、東京で暮らす女の子・小夜。
ある日、故郷の姉・あすみから、婚約したという電話がかかってきます。「相手は布施野さん…」あすみが気まずそうに伝えた名前を聞いた小夜は、愕然とします。
居ても立っても居られず、友達のエイゴを連れて故郷に戻った小夜に、動揺を隠せないあすみ。
やがて帰宅した布施野と8年ぶりに再会した小夜は、地元の企業に就職し、その上姉と結婚までするという、順風満帆な布施野に苛立ちを募らせます。
実は、布施野は8年前、小夜のある事件に関係していた人物なのです。
小夜の出現をきっかけに、あすみの友人、あすみに思いを寄せる幼馴染、8年前の事件現場に居合わせた布施野の友人と事件を元に小説を書きたいその恋人…と、彼女たちを取り巻く人たちの様々な思惑が、次々と炙り出されていきます。
やがて、布施野への憎しみが抑えきれず、ついに驚くべき行動に出る小夜。
そして、姉・あすみと妹・小夜との確執が、次第に明らかになっていくのです。

主人公の小夜を演じたのは『街の上で』『花束みたいな恋をした』『佐々木、イン、マイマイン』など話題作に次々出演し、邦画ファンに注目される萩原みのりさん。
彼女の目が忘れられません。憎しみに燃える瞳の中に宿る、寂しさなのか諦めなのか、シンとした静けさのようなもの。小夜がどこを何を観ているのか、覗き込んでみたくなるような好奇心をくすぐられる目なんです。
最後の小夜の選択が理解できず、オファーを受けた時、とても悩んだそうですが、でも、小夜を守りたい一心で挑戦したと話しています。
そして、姉・あすみ役の柊瑠美さんの壮絶な演技にも震えました。

どんどん露わになっていく人間の欲望=業が、刃物のようで本当に怖く背筋もゾッとするのですが、ふと我に返った時、もしかしたら人間ってそんなものなのかもしれないなと腑に落ちました。
多かれ少なかれ人は誰でも、自分はこうなりたい、こうして欲しいという思い、欲望があります。
それが強いか弱いかは人それぞれですが、でもある時、何らかのきっかけがあれば噴出してしまうものなのかもしれません。自分では抑えられないほどに…。
だからここに出てくる人達は、私達でもあるのです。
彼女たちの成れの果てにあなたは何を見るでしょうか?それは、成れの果てなのでしょうか?

『成れの果て』

2021年12月3日(金)より新宿シネマカリテ ほか全国順次公開

公式サイト:https://narenohate2021.com
公式Twitter:@mov_narehate

2021年|81分|カラー|日本|ステレオ|1:2
© 2021 M×2 films

萩原みのり
柊瑠美 木口健太 / 田口智也 梅舟惟永 花戸祐介 秋山ゆずき 後藤剛範

監督・企画・編集 :宮岡太郎   
脚本:マキタカズオミ
撮影:山本周平
照明:鳥内宏二
録音:大野裕之
助監督:幹戸良太
衣裳:深野明美
スタイリスト:秋田百合美
プロデューサー:三浦進
アソシエイトプロデューサー:才本規史 田村宗慈 山口慎平 近藤護 小池康晴
ヘアメイク:大岩乃里子 澤田梨沙
音楽:岡出莉菜
配給:SDP
宣伝:平井万里子
製作:M×2 films

最新番組ブログ
    パーソナリティ
    • ひろたみゆ紀
      ひろたみゆ紀
      ひろたみゆ紀

      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

    • 過去のホームページ
    • 中山秀征の有楽町で逢いまSHOW
    • 週刊 なるほど!ニッポン
    • ウィークエンド・ケアタイム 「ひだまりハウス」 ~うつ病・認知症について語ろう~