ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2021.11.07

サンデー早起キネマ・番外編『最後の決闘裁判』

毎週おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
今回は番外編。オンエアとは別に、是非ご覧頂きたい作品を取り上げます。

中世のフランスで法的に認められつつ、未だに疑惑が渦巻く裏切りと復讐の実話ミステリー
『最後の決闘裁判』

舞台は14世紀のフランス。
権力と地位を求めて苦闘する騎士ジャン・ド・カルージュの美しき妻マルグリットが、夫の友人であり、宮廷から寵愛を受ける家臣ジャック・ル・グリから乱暴されたと訴えます。
しかし、ル・グリは無実を主張。目撃者もいません。
真実が藪の中へと消えかけた時、マルグリットの命を懸けた闘いは“決闘裁判”へと委ねられます。
“決闘裁判”、それは、フランス王国が正式に認めた“神による絶対的な裁き”。真実を知っているのは神だけであり、その神が正しい者を勝利へと導くというのです。
その戦い勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者はたとえ決闘で命拾いをしても罪人として死罪に。
そして、もしも夫が負ければ、マルグリットも偽証の罪で火あぶりの刑に処されます。
果たして裁かれるべきは誰なのか?ついにカルージュとル・グリの死闘の火蓋が切られます!

実はこの作品、カルージュとル・グリ、そしてマルグリットと3人の視点から描かれています。それぞれの視点で繰り返される物語は、違う過程、違う結果をもたらします。
観ていて、まさしく黒澤明監督の『羅生門』を思い出しました。学生の時ゼミで観た『羅生門』は、ストーリーも映像もとても衝撃的でその断片はいまだに忘れられません。
脚本は、マット・デイモンとベン・アフレック。『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』から24年ぶりのタッグです。そこに女性脚本家のニコール・ホロフセナーを迎えて3人の視点で練り上げられました。
マットが「監督は彼しかいない」とリドリー・スコットに連絡した時、「取り憑かれたように『羅生門』の話をしていた」というのです。監督も3つの視点で描かれる作品に惹きつけられ、めでたく誕生となったわけです。

Adam Driver as Jacques LeGris and Matt Damon as Jean de Carrouges in 20th Century Studios’ THE LAST DUEL. Photo by Patrick Redmond. © 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

3つの視点というストーリーの面白味をより深いものにしているのが、リドリー・スコット監督の臨場感と迫力ある映像です。特に闘いのシーンは、自分が何かの拍子で中世のフランスに紛れ込んでしまったよう!目の前を馬が走り、剣が交わい、血が飛び交っているような錯覚に陥ってしまうのです。

Jodie Comer as Marguerite de Carrouges in 20th Century Studios’ THE LAST DUEL. Photo credit: Patrick Redmond. © 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

もちろん、キャストも素晴らしいです。
夫であるジャン・ド・カルージュ役は『オデッセイ』『オーシャンズ』シリーズなどのマッド・デイモン。
無実を訴えるジャック・ル・グリ役は『スター・ウォーズ』シリーズや『ブラック・クランズマン』などのアダム・ドライバー。
信念を貫く妻マルグリッド役は「キリング・イヴ/Killing Eve」でエミー賞主演女優賞を受賞したジョディ・カマー。凛とした美しい高貴な薔薇のようでした。
ベン・アフレックも伯爵ピエール役で登場します。

男たちは名誉のために闘い、女は何のために……?
人は自分の見たいものを見、信じたいものを信じるのかもしれません。
真実は一つのはずですが…あなたの真実をスクリーンの中で見つけてみて下さい。

『最後の決闘裁判』

10月15日(金)公開

公式サイト:https://www.20thcenturystudios.jp/movies/kettosaiban

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
© 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

 

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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