ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2021.10.03

サンデー早起キネマ『護られなかった者たちへ』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
10/3は、強い思いと言葉に胸が熱くなる作品を2本ご紹介。

1本目は、衝撃と感動のヒューマン・ミステリー
『護られなかった者たちへ』

原作は中山七里さんの同名の小説です。
素晴らしい役者さんたちに魅せられ、本当にいろんなことを考えました。
政治家の方、公務員の方をはじめ、この国で生きているすべての方にご覧頂きたいです。

舞台は、東日本大震災から10年が経った仙台。
全身を縛られたまま放置され“餓死”させられるという前代未聞の連続殺人事件が起きました。
被害者二人は、誰もが慕う人格者。怨恨の可能性は低いと思われ、捜査は難航。
しかし、担当刑事の笘篠は被害者二人が福祉保険事務所で働いていたという共通項を見つけ出します。被害者の部下であった円山から仕事の内容を聞くうち、生活保護の実態と深い闇を目の当たりにします。
やがて一人の男が捜査線上に浮かんできました。別の事件で服役し、刑期を終えて出所したばかりの利根。
笘篠は利根を追い詰めていきますが、決定的な証拠がないまま、第三の事件が起きようとしていました。
犯人は、なぜ、こんな無残な殺し方をしたのか?そして利根の過去には一体何があったのか?

容疑者の利根を演じたのは、佐藤健さん。全体の佇まい、目の表情、内に秘めた思い…素晴らしかったです。
震災で家族を亡くしている刑事・笘篠役は、阿部寛さん。事件を鋭く追いながらも、どこか温かな人間味があるんですよね。
福祉保険事務所で働く被害者の部下・円山は、今を時めく清原果耶さん。彼女の抑えた演技が好きです。
他に、倍賞美津子さん、吉岡秀隆さん、林遣都さん、永山瑛太さん、緒形直人さんなど。
日本の映画界を代表するような素晴らしい役者さんたちの演技に圧倒され、グイグイ引き込まれます。

メガホンを取ったのは、『64-ロクヨン-前編』で日本アカデミー賞優秀監督賞を受賞、『友罪』や『糸』の記憶も新しい瀬々敬久監督。
物語は、震災当時と10年後が行ったり来たり、密接なかかわりを持って描かれていきます。
犯人は誰なのか?そしてその動機はなんなのか?どんどん引き込まれる素晴らしいミステリーなのですが、謎が解ければ、その理由はとても切なく、社会に憤りも感じ、やりきれなくなります。
そして、その衝撃の理由は、私たちの心に抜けない棘のように刺さったままになるのです。なぜなら、自分も、そんな社会を構成している一人だからです。
見たいものを見て見たくないものは見ない、そして見えないものは忘れる…いつの間にかそんな悪循環が当たり前の社会になってしまったのかもしれないなと思いました。でも、その事実を認めたら、少しずつでも何かが変わっていくのでは?という希望の光も見えてきます。
「死んでいい人なんて、いないんだ」…利根の渾身のメッセージと共に。

『護られなかった者たちへ』

10月1日(金)全国公開

公式サイト:映画『護られなかった者たちへ』公式サイト (shochiku.co.jp)

出演:佐藤健、阿部寛、清原果耶、林遣都、永山瑛太、緒形直人、吉岡秀隆、倍賞美津子
主題歌:桑田佳祐「月光の聖者達」(タイシタレーベル / ビクターエンタテインメント)
原作:中山七里「護られなかった者たちへ」(NHK出版)
監督:瀬々敬久『64-ロクヨン-前編/後編』『糸』
脚本:林民夫『永遠の0』『空飛ぶタイヤ』・瀬々敬久
音楽:村松崇継『思い出のマーニー』『大奧』

配給:松竹
©2021映画「護られなかった者たちへ」製作委員会

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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