ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2021.08.22

サンデー早起キネマ『ホロコーストの罪人』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
8/22は、8/27に公開される作品を2本ご紹介。

1本目は、実話に基づき描かれたノルウェーの作品
『ホロコーストの罪人』

 

今年公開されているナチスの蛮行に関する映画の特徴は、“知られざる物語”。
この作品もその一つです。
ホロコーストの命令はナチスが下し、ノルウェー人は単なる傍観者だったとされてきましたが、実はホロコーストに自発的、積極的に関与する加害者だったというのです。それも普通の人々が…。

第二次世界大戦中、ユダヤ人のブラウデ家は、ボクサーの次男チャールズが、アーリア人の女性と結婚し、幸せな日々を過ごしていました。
しかし、ナチスがノルウェーを占領し、状況が一変。
身分証明書にユダヤ人のマークが押され、財産は没収されてしまいます。
さらに、チャールズをはじめユダヤ人の男性はベルグ収容所へと連行され、強制労働。
そして、1942年11月、ノルウェーの秘密国家警察の指揮の元、警官とタクシー運転手たちによって、ノルウェーに住むユダヤ人全員がオスロ港へと強制移送されます。
そこで待っていたのは、アウシュビッツへ向かう船“ドナウ号”だったのです…。

この作品には、ノルウェーの平凡なユダヤ人一家の悲劇と、ホロコーストに警察や一般市民らが加担していたという“ノルウェー最大の罪”が描かれています。
事件から70年経った2012年、当時のストルテンベルグ首相が、“ノルウェー人のホロコーストへの関与”を認め、政府として初めて、公式に謝罪しました。

ノルウェー人のエイリーク・スヴェンソン監督は、こう述べています。
「たった数十年前、地元の近くで起きた出来事なのに、自分が何も知らなかったと気付かされ、当時のノルウェー人がユダヤ人に対してとった行動に強い思いが湧き起こった。この作品を映像化しないのなら、映画を作り続ける意味はないのではないかとさえ思った。」
さらに、今も起きている迫害や差別について「近い遠いに関わらず、どこで行われていようと、私たちは人権を侵害する現代の残虐行為に対して敏感である責任があると思う」とも。
自国の過去の罪を描いたことで賛否両論あったそうですが、公開されると興行1位を記録しました。

人間が、わき目も振らず何かに向かって突っ走っていくことの恐ろしさを本当に感じました。
これまで何年も何十年も仲良くしてきた隣人が、ある日を境に突然、暴力的になり、命を脅かす存在に変わってしまったのです。
それが人間の本質なのでしょうか?だからこそ目を背けず、過去から学ぶしかないんですよね。
なんの罪もない平和な家族を引き裂いたノルウェー最大の罪。国家は国民は、その罪をなぜ背負ってしまったのか、自分の目で確かめる時が来ています。

『ホロコーストの罪人』

8月27日(金)、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

公式サイト:https://holocaust-zainin.com

監督:エイリーク・スヴェンソン 脚本:ハラール・ローセンローヴ=エーグ、ラーシュ・ギュドゥメスタッド
製作:マーティン・サンドランド 音楽:ヨハン・セデルクヴィスト
出演:ヤーコブ・オフテブロ、クリスティン・クヤトゥ・ソープ、シルエ・ストルスティン、ピーヤ・ハルヴォルセン、ミカリス・コウトソグイアナキス、カール・マルティン・エッゲスボ
2020年/126分/カラー/ビスタ/5.1ch/ノルウェー語・ドイツ語/ノルウェー/日本語字幕:高橋澄
原題:Den største forbrytelsen 英題:Betrayed 後援:ノルウェー大使館
配給:STAR CHANNEL MOVIES/PG12
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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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