ひろたみゆ紀のサンデー早起き有楽町

2021.08.08

サンデー早起キネマ『ジュゼップ 戦場の画家』

おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
8/8は、コロナ禍の今、楽しんでいただきたい作品を3本ご紹介しました。

3本目は、ペンを握りしめて激動の時代を生き抜いた奮闘の画家ジュゼップ・バルトリの驚くべき人生を描いたフランスのアニメーション
『ジュゼップ 戦場の画家』

日本では知る人ぞ知る、スペインの画家ジュゼップ・バルトリ。
スペイン内戦時代、共和国軍の一員としてフランコ軍と戦い、1939年にフランスに避難。強制収容所に連行され、想像を絶する過酷な難民生活を経験。
収容所からの脱走を繰り返したのち、メキシコに亡命します。
そして1945年にニューヨークに渡り、画家としての名声を確立…という波乱万丈な人生を送りました。
この作品では、フランスでの難民収容所を中心に、その後も描かれています。

物語は現代、絵を描くことが好きなフランス人の少年・ヴァランタンが、母に連れられて寝たきりの祖父セルジュのアパートにやって来るところから始まります。
壁にかけられた苦しそうな表情の男の絵を見せながら、セルジュは、今も忘れられない若き日の思い出を孫に語り始めます…。

時は1939年2月。スペイン内戦の戦火から逃れた大勢の難民がフランスに押し寄せてきますが、フランス政府は難民たちを劣悪な環境の強制収容所に押し込めます。そこでは寒さと飢え、蔓延する病気、そして重労働とフランス人憲兵の虐待で、多くの人々が命を落としていました。
そんな難民の中に、地面や壁などに黙々と絵を描くジュゼップという風変わりな画家がいました。彼は、絵を描くことが人間性を保つ唯一の手段であるかのように、過酷な日常を描き続けます。
ある日、心優しい新米の憲兵セルジュが、ジュゼップにこっそりと紙と鉛筆を渡してくれました。いつしか2人の間には、国籍も身分も超えた友情が芽生えていたのです。
やがて、ジュゼップが消息不明の婚約者マリアとの再会を夢見ていることを知ったセルジュは、彼の切なる願いを叶えるため、マリアを探すのですが…。

監督は、フランスの全国紙ル・モンドなどでイラストレーターとして活躍してきたオーレル氏。
アニメ作品としてはとてもユニークです。デッサンや水彩画を思わせる素朴で繊細な画風が本当に素晴らしいですし、音楽もいいんですよね…音楽を聴きながら画集を見ているような気分になります。

ただ、収容所の内容は過酷で衝撃的です。フランスにそんな収容所があったことも知りませんでした。収容される人と見張る人…その関係には、いつも心が引き裂かれるような痛みを感じます。
でもこの作品には、そんな時代から現代に受け継がれていく“人の想い”が、さりげなくかつ感動的に描かれていて、最後のシーンでは温かな涙が頬を伝いました。
彼にとって絵を描くことは生きること。生きることは希望を失わないこと…
戦争の時代と激動の20世紀を生き抜いたアーティストの魂の旅を映像化した厳しくも美しい作品、是非、大スクリーンでお楽しみください。

『ジュゼップ 戦場の画家』

8月13日(金)、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

公式サイト: longride.jp/josep/

監督:オーレル
脚本:ジャン=ルイ・ミレシ
2020年/フランス・スペイン・ベルギー/仏語・カタロニア語・スペイン語・英語/74分/シネマスコープ/カラー/5.1ch/原題:JOSEP/ 日本語字幕:橋本裕充
配給:ロングライド
©️Les Films d’Ici Méditerranée – France 3 Cinéma – Imagic Telecom – Les Films du Poisson Rouge – Lunanime – Promenons – nous dans les bois – Tchack – Les Fées Spéciales – In Efecto – Le Mémorial du Camp de Rivesaltes – Les Films d’Ici – Upside Films 2020

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      ひろたみゆ紀

      6月25日生まれ 栃木県出身 特技:韓国語 趣味:DIY
      元NHK宇都宮放送局のキャスター レディオベリー(エフエム栃木)アナウンサー  2001年からフリーに。
      以降、ニッポン放送でアシスタントやリポーターを務めるなどフリーアナウンサーとして活動。

      2009年、語学留学のため、渡韓。
      卒業後は現地で日本語を教える傍ら、2011年4月より翌年6月まで
      レディオベリーの韓国情報番組『K-ONECT』のパーソナリティを務めていた。
      韓国語と韓国の生活文化を身につけ、2012年9月に帰国。

      現在はニッポン放送アナウンス部に所属。

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