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サンデー早起キネマ『淪落の人』

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番組でご紹介した作品をブログでも味わって頂く「サンデー早起キネマ」

途中から泣きっぱなしでした!
香港から届いた温かい涙溢れる感動作

『淪落の人』

淪落とは“落ちぶれること”という意味です。

主人公は、突然の事故で半身不随となり車いすで生活するチョンウィン。
妻とは離婚、息子とも離れて暮らし、人生に何の希望も持てずただ日々を過ごしていました。
妹ジンインとの関係もうまくいきません。
慰みは、唯一の友達である元同僚・ファイとの会話と海外の大学に通う一人息子の成長だけ。
ある日そこに、住み込みの家政婦として、若いフィリピン人女性エヴリンがやってきます。
チョンウィンは、広東語が話せない彼女に最初はイライラしますが、片言の英語で会話を続け、生活を共にするうちに、やがてお互いに情が芽生えていきます。
そのうち、エヴリンは写真家になりたかったのに生活のために仕方なく家政婦になったこと、そして今でも心の中では夢を追い求めていることを知ったチョンウィン。
彼女の夢を叶える手助けをしようと思いつきます…。

主演は、香港を代表する演技派俳優のアンソニー・ウォン。
この作品にほれ込んで、なんと!ノーギャラで出演。
半身不随という難しい役を見事にこなし、香港の数々の主演男優賞を受賞しました。
家政婦エヴリン役は、香港滞在が10年を超えるフィリピン人女優クリセル・コンサンジ。
舞台出身で映画出演は初めて。しかし天賦の才能を発揮、リアルで繊細な演技で多くの観客を感動させ、こちらも香港の数々の最優秀新人賞に選ばれています。
このふたりの演技に心底惚れました!

監督は、これがデビュー作。
新鋭の女性監督オリヴァ―・チャン。
タイトルは、中国唐代の詩人・白居易の詩「琵琶行」の一節から取ったと言います。
「琵琶行」は、濡れ衣を着せられ左遷させられた白居易が、月が綺麗なある晩、都で名をはせた芸妓が、琵琶を弾きながら歌う“落ちぶれたわが身を嘆く歌”をきいて、今の自分と重ね合わせて作った詩だと言われています。
この作品も人生のどん底にいる2人の物語。
監督は“縁あって出会った以上、その縁を大切にすべきだ”と説いています。

最初はうまくいかなかった2人が、心を通わせるようになり、やがてかけがえのない人になっていく…その過程が素晴らしい!
かけがえのない人と言っても男女の愛情ではありません。
性別も年齢も超えた人と人としての情がそこにはあるのです。
損得勘定抜きにして、純粋にその人の幸せだけを想う気持ちです。
人間にとって本当に大切なものは何か、気づかせてくれました。

しみじみと心に響くこういう作品をこれからも紹介していきたいと思わせてくれた宝物のような作品です。

『淪落の人』

2020年2月1日 新宿武蔵野館 他 全国順次公開

公式サイト:http://rinraku.musashino-k.jp/

監督:オリヴァー・チャン / 出演:アンソニー・ウォン、クリセル・コンサンジ、サム・リー、セシリア・イップ、ヒミー・ウォン
2018年/香港/原題:淪落人/英題:STILL HUMAN/112分/ビスタサイズ/5.1ch/G 
配給:武蔵野エンタテインメント株式会社
武蔵野エンタテインメントTwitter:@musashino_ent

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