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サンデー早起キネマ『ミナリ』

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おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
3/14は、俳優陣が素晴らしい作品を2本ご紹介しました。

1本目は、去年の『パラサイト 半地下の家族』に続き、本年度のアカデミー賞で波乱を起こすのではないか?と大注目の作品
『ミナリ』

オスカーの常連・スタジオA24と、ブラッド・ピット率いるPLAN Bがタッグを組んだ傑作です。

舞台は、1980年代のアメリカ南部アーカンソー州の高原。
農業で成功することを夢見る韓国系移民のジェイコブの一家が、引っ越してきます。
荒れた土地とボロボロのトレーラーハウスを見た妻のモニカは、話が違うと激怒!でも、ジェイコブは「土がいいからここに来たんだ」とご機嫌です。しっかり者の長女のアンと心臓が弱く茶目っ気タップリの末っ子のデビッドに「大きな農園を作る」と宣言。
やがて2人の子供たちの面倒を見るために、韓国からモニカの母スンジャを呼び寄せます。
“料理はできない、口が悪い、花札が大好き!”という、いわゆるおばあちゃんらしくないスンジャに、子供たちは戸惑いますが、デビッドの悪戯をきっかけに強い絆で結ばれていきます。
苦労の末、農場の野菜も育っていきますが、突然地下水が涸れて大変なことに!
さらには、ようやく取れた作物も買い手から突然キャンセルされるなど、様々な困難と、思いがけない事件が次々と家族に降りかかります。
ジェイコブ一家は一体どうなってしまうのでしょうか?

父が韓国からアメリカに渡ってきた移民二世であるリー・アイザック・チョン監督が、幼い頃の体験を元にオリジナル脚本を書き上げ、メガホンもとりました。
祖母と父母、子供2人の普通の家族の物語は、一から農場を作り上げるという特殊な境遇を描きながらも、家族の絆や共に何かをやり遂げようとするなど、誰でもこの家族に共感できる普遍性があります。
だからこそ、家族の一人一人がとても魅力的に描かれているのです。

特におばあちゃんスンジャと孫のデビッドのユーモラスな関係が微笑ましく、ほっこりします。
スンジャを演じたのは、韓国の大女優ユン・ヨジョン。韓国ドラマや映画が好きな方は、名前は知らなくてもその姿をみたら、ほとんどの方が「ああ、知ってる!見たことある!」と思うはず。
今回の演技はとりわけ素晴らしく、韓国でも大絶賛されています。アカデミー賞助演女優賞の有力候補ともいわれています。
そして、幼い日の監督が投影されたデビッド役は、この作品でデビューした今年9歳になるアラン・キム。
新人とは思えない自然な素晴らしい演技!好奇心や悪戯心、死への恐怖など、子供の頃は自分もそうだったなぁと思い出させてくれます。

お父さんジェイコブ役は、自身も韓国系移民のスティーヴン・ユアン。アメリカンドリームを追いかける少年のような情熱と危うさを見事に演じました。
お母さんのモニカ役はハン・イェリ。成功よりなにより家族が大切だと思う母の愛が全身から滲み出ていました。
お姉ちゃんのアンは、またもや新人とは思えない演技力のネイル・ケイト・チョー。2人の子供たちの演技がこの作品をさらに高みに導きました。
いろいろあるけど、とってもいい家族です。

タイトルの『ミナリ』は韓国語で“セリ”のこと。
日本でも食べますが、韓国ではお鍋に入れたりナムルにしたり、とても身近な野菜です。
この作品では、スンジャが韓国から種を持っていき、森の奥の川辺に蒔くのです。
強い植物でどこでも育つミナリ。この家族の象徴でもあります。
この世にはどんなに願っても“平穏無事な人生”などないのかもしれません。
だからこそ、辛いことが起きた時もまた立ち上がろうとするこの家族に、私たちは自分の未来を託したくなるのではないでしょうか?
だからこそ、何度でも観たくなる作品なのです。

家族とは?
『ミナリ』

3月19日(金) TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー

公式サイト:gaga.ne.jp/minari

■原題:MINARI  
■全米公開日:2021年2月12日
■脚本&監督:リー・アイザック・チョン
■出演:スティーヴン・ユァン、ハン・イェリ、ユン・ヨジョン、ウィル・パットン、スコット・ヘイズ ほか
■上映時間:116分 
■配給:ギャガ
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