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サンデー早起キネマ『私は確信する』

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おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
2/7は、驚くべき実話をもとにした2作品(+1作品)をご紹介しました。

2本目は、事件発生から裁判まで異例尽くしの実話に基づく法廷サスペンス
『私は確信する』

フランス全土の関心を集めた未解決事件がついに映画化されました。その未解決事件とは?
2000年のある日曜日、フランス南西部のトゥールーズに住む38歳のスザンヌ・ヴィギエが3人の子供を残して忽然と姿を消し、夫のジャック・ヴィギエに殺人容疑がかけられます。
しかし、スザンヌの遺体は見つからず、ジャックは証拠不十分で釈放。
やがてメディアのセンセーショナルな報道が過熱する中、2009年に裁判が開かれます。
第一審は無罪でしたが、すぐさま検察が控訴し、翌年2010年の第二審で再び殺人罪に問われることになります。
被害者の遺体が発見されず、彼女が本当に殺されたのかもわからないまま開かれた裁判は、フランス中の注目を集めました。
夫のジャックが法学部の教授で映画マニアだったため、メディアが“ヒッチコックマニアによる完全犯罪”と報じて大衆の好奇心を煽ったのです。

この作品で描かれるのは、2010年の第二審。
主人公は、レストランのシェフでシングルマザーのノラ。
一人息子の家庭教師であるジャックの娘クレマンスのためにも、彼の冤罪を晴らしたいと願っています。
そして“無罪請負人”の異名を持つ著名な敏腕弁護士デュポン・モレッティに弁護を依頼。
仕事と子育てに忙しい中、デュポンのアシスタントを買って出て、250時間にも及ぶ事件関係者の電話の通話記録の分析を行います。
やがて始まった裁判は、さまざまな疑惑が渦巻く仮説や証言が飛び交い思わぬ方向にねじれていきます。
果たして、ノラとデュポン・モレッティは、ジャックの無罪を勝ち取ることができるのでしょうか?

証人たちの尋問は、芥川龍之介の「藪の中」よろしく、何がホントなのか?真実を言っているのは誰なのか?何もかもがわからなくなってきます。
根底に流れるべきなのは「推定無罪」の法則。
しかし、それぞれの正義感によって真実が歪められていきます。
ミイラ取りがミイラになる…周りが見えなくなってしまった時の正義感は、ある意味怖いなと思いました。
最後の法廷シーンは、自分も陪審員になったかようなものすごい緊張感。
デュポン・モレッティの最終弁論に固唾をのんで聞き入ってしまいました。
「こうだったのではないか」という仮説が、いつの間にか「きっとこうだったに違いない」と仮説ではなくなってしまう恐ろしさを目の当たりにしました。
自分の正義を貫くために誰かを犠牲にしてはいないか?
正義の名の下にネットで声高に叫ぶ人がいたり、SNSに踊らされている今、落ち着いて、正義の意味を今一度じっくり考えてみたくなりました。

冤罪か、有罪か。真実は二重の歪みにひそむ。
『私は確信する』

2月12日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

公式サイト:映画『私は確信する』オフィシャルサイト (cetera.co.jp)

監督:アントワーヌ・ランボー
出演:マリーナ・フォイス、オリヴィエ・グルメ、ローラン・リュカ、フィリップ・ウシャン、インディア・ヘアほか
原題:Une intime conviction/110分/2018年/フランス語/フランス/シネスコ/日本語字幕:丸山垂穂/
字幕監修:島岡まな(大阪大教授、フランス刑法専門) 配給・宣伝:セテラ・インターナショナル/宣伝協力:テレザ
©Delante Productions – Photo Séverine BRIGEOT

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