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サンデー早起キネマ『聖なる犯罪者』

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おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
1/10は、全くタイプは違いますが、嘘と真実、人間が持つ二面性を描いた作品を2本ご紹介しました。

2本目は、ポーランドから届いた実話をもとにした衝撃作
『聖なる犯罪者』

主人公は、殺人の罪を犯した20歳のダニエル。
少年院で出会った神父の影響で熱心なキリスト教徒となり、前科者は聖職者になれないと知りながらも神父になることを夢見ています。
やがて仮釈放され、少年院から遠い田舎の製材所で働くことになったダニエルは、行く途中立ち寄った教会で新任の司祭と勘違いされ、成り行きでそのまま司祭に。
行動もミサも大胆で率直な“司祭らしからぬダニエル”に最初は戸惑った村人達も、徐々に信頼し、いつしか村のカリスマ的な司祭になっていきます。
そして1年前、この村で7人が亡くなる凄惨な事故があったことを知ったダニエルは、心に深い傷を負った遺族達を癒そうと模索します。
そんな中、同じ少年院にいた男がダニエルの前に現れ、事態は思わぬ方向へ…。
ダニエルは、村人達は、どこへ向かっていくのでしょうか?

日本人にはなかなか理解し難いのですが、人口の9割がカトリック教徒というポーランドでは、こうした偽司祭の話は珍しくないそうです。
この作品の元になったのも9年ほど前に実際に起きた事件。
その少年は3か月間神父のふりをしていたそうですが、なんと本物の前任者より有能で、人々は彼の仕事に満足していたという事実に衝撃が走りました。

この作品は、何が凄いって、ダニエルを演じたポーランドの期待の俳優28歳のバルトシュ・ビィエレニアの演技が凄い。
天使と悪魔の両面を持つ危うさと、恐れ・悲しみ・怒り・諦め・喜び・・自己陶酔など、全てを語る瞳は、一度見たら忘れられない強烈な印象です。

ダニエルは、欲望の赴くままに都合よく生きている反面、自分の経験をもとにした人の弱さを語り、聴く者の心を打つミサができるのです。
迫力あるその語りに、観ている私たちも教会にいるかのようにグイグイ引き込まれます。

私はこの作品をたまたま元日に観たのですが、忘れられない1本になりそうです。
決して後味のいい作品ではないのですが、心がヒリヒリするんですよね。
人間の本質について考えてしまいます。
人は環境によってどう変わるのだろうか?
ある役割を演じるということとその人の本性はどう違うのだろうか?
嘘をつき続けるとそれが自分の中で真実に変わってしまうのだろうか?

過去を偽り聖職者として生きる男…彼は聖人か?悪人か?
あなたはどちらだと思いますか?

目の前にある事実を信じるな!
『聖なる犯罪者』

1月15日(金)より、
ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー!

公式サイト:映画『聖なる犯罪者』公式サイト (hark3.com)

監督:ヤン・コマサ
出演:バルトシュ・ビィエレニア、エリーザ・リチェムブル、アレクサンドラ・コニェチュナ、トマシュ・ジィェンテク
2019年/ポーランド=フランス合作/ポーランド語/115分/R18/5.1chデジタル/スコープサイズ
原題: Boże Ciało 英題: Corpus Christi 字幕翻訳:小山美穂 字幕監修:水谷江里 後援:ポーランド広報文化センター 配給:ハーク
© 2019 Aurum Film Bodzak Hickinbotham SPJ. – WFSWalter Film Studio Sp. z o.o. – Wojewódzki Dom Kultury W Rzeszowie – ITI Neovision S.A. – Les Contes Modernes

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