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サンデー早起キネマ『燃ゆる女の肖像』

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毎週おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
12/6は、女性監督が描く愛に溢れた2作品をご紹介しました。

まずは、フランスのセリーヌ・シアマ監督・脚本。
生涯忘れられない痛みと喜びを人生に刻んだ恋を辿る追憶のラブストーリー
『燃ゆる女の肖像』

監督はこの作品で、第72回カンヌ国際映画祭の脚本賞、そして、女性監督として初めて、LGBTQをテーマにした優秀な作品に贈られるクィア・パルム賞を受賞。
シャーリーズ・セロンに「4回も見た」と言わしめるほど、多くの映画人に愛されている作品です。

舞台は18世紀。1770年、マリーアントワネットが結婚した年のフランス・ブルターニュの孤島。
画家のマリアンヌは、ブルターニュの伯爵婦人から、娘のエロイーズのお見合い用の肖像画を描いて欲しいと頼まれます。
しかし、エロイーズは結婚を拒否していて肖像画も描かせないというのです。
マリアンヌは画家という身分を隠し、母親に雇われた“散歩の友”としてエロイーズに近づきます。
昼は一緒に散歩をしてエロイーズを観察、夜ひっそりと肖像画を描き、ついに完成。
しかし、その真実を知ったエロイーズからは、絵の出来栄えまで否定されてしまいます。
「これは私ではありません」
肖像画を描き直すと決めたマリアンヌに、意外にもモデルになると申し出るエロイーズ。
キャンバスを挟んで見つめ合い、美しい島を共に散策し、音楽や文学について語り合ううちに、恋に落ちる二人。
約束の5日後、肖像画はあと一筆で完成…それは2人の別れを意味していました。

マリアンヌを演じたのは、ノエミ・メルラン。
このコーナーでご紹介した出演作品は『英雄は嘘がお好き』。
今回は、男尊女卑の時代に父の名前を借りて展覧会に出品するなど、芸術に生きる志の強い女性を真っ直ぐな瞳で演じています。

エロイーズ役は、フランスでもっとも熱い称賛を得ているアデル・エネル。
シアマ監督の元パートナーで、別れた後に新境地を開いて欲しいとこの作品を当て書きしたエピソードも。
本当にエロイーズ役は彼女以外に考えられません。
特に切なくも力強いラストシーンは、圧巻!
横顔だけであんな演技ができるのだと…あまりの凄さに心が震え、見終わった後に脱力しました。

たった数日間の出来事なのに、とっても濃い、一生心に刻まれてしまうほどの体験ってなかなかできませんよね。
でもこの作品を観たら「ああ、でもそういう恋もあるのだ」と納得してしまいます。
島の素晴らしい景色やドレスの色合いなど映像の美しさもさることながら、印象的なのが、BGMがないこと。
波の音や風の音、ドレスの衣擦れの音など、聴覚を刺激してくれるのです。
効果的に使われている音楽はたった2曲。登場人物が実際に歌い奏でる曲です。これが素晴らしい!

絵画のように美しく、切なく、そして愛の強さを秘めた物語は、あなたの心に燃えるような情熱を蘇らせてくれるかもしれません。

すべてを、この目に焼き付けた…。
『燃ゆる女の肖像』

12月4日(金) TOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国順次公開

公式サイト:https://gaga.ne.jp/portrait/

監督・脚本:セリーヌ・シアマ   
出演:アデル・エネル、ノエミ・メルラン
2019年/フランス/122分/カラー/ビスタ/5.1chデジタル/原題:Portrait de la jeune fille en feu/英題:PORTRAIT OF A LADY ON FIRE/字幕翻訳:横井和子/配給:ギャガ 
<PG12>
Ⓒ Lilies Films.

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