• Facebook
  • Twitter
  • LINE

サンデー早起キネマ『君の誕生日』

  • LINEで送る

毎週、おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”

11/29は、大切な人を突然失ってしまった家族の再生の物語を2本ご紹介しました。
奇しくも2本とも、長編初監督というお二人の作品です。

まずは、韓国から届いた涙の物語
『君の誕生日』

あなたは覚えてらっしゃいますか?韓国で起きた6年前の大惨事!
2014年4月16日、韓国全土を悲しみで包んだセウォル号沈没事故。
修学旅行中の高校生ら300人以上が犠牲になりました。

監督は、この作品が長編デビュー作となるイ・ジョンウォン氏。
イ監督は、あの大惨事の後、亡くなった高校生たちの遺族会でボランティア活動をしてきました。
遺族会では、犠牲になった子の誕生日が近づくと、家族・友人・知人など、その子を愛する人々が集まって、その子のことを思い出し語り合う“誕生日会”が開かれています。
イ監督は、そこで感じたことを、より多くの人々と共感するために、映画化を決意したのです。

主人公となるのは、あの事故で息子スホを失い、恋しさと悲しみを抱きながら生きる父ジョンイルと母スンナム、そして妹イェソルの3人家族。
やがて、また1年が経ち、スホの誕生日が近づいてきます。
母スンナムは、主役不在の誕生日は息子がいない現実を認めるようで、怖くてたまりません。
一方、ある事情で、息子が亡くなった日に父親としての役目を果たせなかったジョンイルは、家族に対して罪悪感を抱えたまま、あの日から2年後に韓国に戻ってきました。
彼にとってすべてが見慣れない現実の中、家族と一緒にスホの誕生日を迎えるのですが…。

父ジョンイル役は、韓国の名優、サンデー早起キネマでも彼の出演作品を随分ご紹介してきたソル・ギョング。
「シナリオを読んですぐにやらなければならない」と思ったそうです。
母スンナムを演じたのは、シナリオを読んで大泣きしたというチョン・ドヨン。
3台のカメラ、30分のロングテイクで撮ったラストのハイライトシーン、スホの誕生日会は、大切な人を突然失ってしまった家族や友人達の想いを、すべて手のひらにのせて見せられたようで、私も嗚咽が漏れるほど大泣きしました。

大切に大切に思い出し、過去と対話することで救われることもあるんですよね。
思い出を語り合うことは、亡くなった人への贈り物であると同時に、残された人の慰めでもあります。
そして、私たちは彼らの思いを受け止め、共感し、自分の家族の大切さも振り返ることになるのです。

セウォル号の“セウォル(세월)”とは、韓国語で“歳月”のこと、この言葉を使った「セウォリヤッ(세월이 약)」という諺があります。
「歳月は薬」=時が経てば辛さも悲しみも忘れていくということですが、遺族の方々がこれまで辛さを抱えて過ごしてきた歳月、これからは少しでも癒されていくことを祈らずにはいられません。

君がいない 君の誕生日 1年にたった1日 君を想う、すべての人が再会する日
『君の誕生日』

11月27日(金) シネマート新宿ほか全国ロードショー

公式サイト:http://klockworx-asia.com/birthday/

出演
ソル・ギョング『ペパーミント・キャンディー』『オアシス』『1987、ある闘いの真実』
チョン・ドヨン『シークレット・サンシャイン』『ハウスメイド』『男と女』
キム・ボミン『ザ・ネゴシエーション』
ユン・チャニョン
キム・スジン『1987、ある闘いの真実』
イ・ボンリョン『EXIT イグジット』
監督・脚本:イ・ジョンオン
撮影:チョ・ヨンギュ『シークレット・サンシャイン』
編集:シン・ミンギョン『ザ・キング』
音楽:イ・ジェジン『アシュラ』
2019年/韓国/120分/カラー/ビスタサイズ/5.1ch/日本語字幕:小西朋子/原題:생일/英題:BIRTHDAY
配給:クロックワークス
© 2019 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & NOWFILM & REDPETER FILM & PINEHOUSEFILM. All Rights Reserved.

ニッポン放送の番組一覧

他の番組を見る >