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サンデー早起キネマ『ヒトラーに盗られたうさぎ』

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毎週おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
11/22は、希望の大切さを描いた作品を2本ご紹介しました。

2本目は、「おちゃのじかんにきたとら」「わすれんぼうのねこ モグ」シリーズでおなじみの世界的絵本作家ジュディス・カーの自伝的小説「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」の映画化
『ヒトラーに盗られたうさぎ』

 

「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」は残念ながら日本では絶版になっていますが、ジュディス・カーの絵本を読んだことがある方もいらっしゃるのでは?

物語の始まりは、1933年2月のベルリン。
ヒトラーの台頭によってナチスが政権を握る直前、9歳の少女アンナは、ある日母から突然「家族でスイスに逃げる」と告げられます。
ユダヤ人で、新聞やラジオでヒトラーを痛烈に批判していたアンナの父は、「次の選挙でヒトラーが勝てば、反対者への粛清が始まる」と忠告されていました。
それは、両親と兄と4人で何不自由なく暮らしてきたアンナの楽しく平和な家族の日々が一変し、この日を境に過酷な逃亡生活へと足を踏み入れる始まりだったのです。
アンナは家族と共に、ドイツからスイス、フランス、そしてイギリスへと亡命。
その先々で一体何がアンナを、家族を、待ち受けているのでしょうか?

一家の逃亡生活を描いているこの作品、もちろん見つかってしまうかも!というハラハラドキドキのシーンはありますが、全体的に明るくユーモアにあふれています。
9歳のアンナがとてもお茶目で可愛くて、ウィットに富んでいます。

そして、何より家族の絆と、両親の考え方が素晴らしいのです。
次の逃亡先を見つけるため出かける両親に「おうちがない子は、家族と一緒にいなきゃいけないの」とアンナが言えば、お父さんが「わが家が一か所とは限らない。あちこちにできるかも。それもいいだろ?」と返す。
「言葉がわからないから友達ができない」とお兄ちゃんが言えば、お母さんが「言葉は歌で覚えるのよ」と家族で楽しく歌いだす。

どんなに辛い出来事でも、物事には必ず両面があります。
この一家は、物事のいい面をみて、それを希望に変えていく天才なのです。
失うものはあっても希望が見つかれば、また歩いて行ける…その時忘れてはならないのは感謝の心。
この作品が、今この時代に描かれたのは必然な気がします。

抜けるような青空の下の青い山々に緑の草原、スイスの美しい風景、エッフェル塔や街の灯が優雅なパリの夜景、船から遠くに見えるイギリスの大地…それぞれの特徴的な景色がこの作品に奥行きを与えています。

「なんだってできるのよ、一緒にいれば!」
家族の絆と希望があれば、人はどれだけ強くなれるのか。
戦場を描かない戦争映画でもあり、人間の恐ろしさ・愚かさと希望を描いたこの作品。
一家の考え方は、問題が山積する現代を生きる私たちに大きなヒントを与えてくれます。

『ヒトラーに盗られたうさぎ』

11 ⽉ 27 ⽇(⾦)よりシネスイッチ銀座にて全国順次ロードショー

監督:カロリーヌ・リンク(『名もなきアフリカの地で』)
原作:ジュディス・カー(「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」評論社刊・現在は絶版)
脚本:カロリーヌ・リンク/アナ・ブリュッゲマン
出演:リーヴァ・クリマロフスキ・オリヴァー・マスッチ・カーラ・ジュリ
2019 年/ドイツ/ドイツ語/カラー/スコープサイズ/5.1chステレオ/119 分/原題:When Hitler Stole Pink Rabbit
配給:彩プロ
© 2019, Sommerhaus Filmproduktion GmbH, La Siala Entertainment GmbH, NextFilm Filmproduktion GmbH & Co. KG, Warner Bros.
Entertainment GmbH

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