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サンデー早起キネマ『詩人の恋』

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毎週おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
11/8は、ベテラン俳優の演技が光る、切な~い作品を2本ご紹介しました。

2本目は、韓国のリゾート地・済州島を舞台にした作品です。
日本では菅田将暉さんと共に主演を務めた『ああ、荒野』の演技が光る名優ヤン・イクチュン主演
『詩人の恋』

自然豊かな済州島で生まれ育った売れない詩人のテッキは、美しい言葉で感傷的に綴った詩も仲間たちからこき下ろされ、ここ数年スランプに陥っています。
そんな浮世離れしたうだつの上がらない夫を経済的にも支えるしっかり者の妻ガンスン。
子供が欲しいという思いが強くなり、不妊治療を始めることに…
でも、どうにも父親になることに気が進まないテッキ。

そんな時、港に開店したドーナツショップで働くイケメン青年セユンに出会います。
日がな一日彼のことを考え、彼のつぶやきが詩の種となり、その詩は「今までの詩とは違う」と仲間たちからも褒められます。
もっと彼を知りたい…
やがてセユンが寝たきりの父親を抱えた貧しい家の子で苦労しているという事実を知ります。
30代後半にして初めて芽生えた「守ってあげたい」という感情を隠しながら、テッキは孤独を抱えるセユンと心を通わせていきます。
しかし、待望の妊娠がわかった日、テッキの詩を読んだガンスンは、夫の心の中に誰かがいることに気づいてしまうのです。
詩人のテッキと、しっかり者の妻ガンスン、そして貧しい青年セユン…
テッキの選択で、この三角形は、どんな形に変わるのでしょうか?

ユーモアたっぷりに描かれているのに、この作品もとっても切ないです!
テッキがセユンに抱く感情は、父や兄といった保護者のようでもあり、少女のように胸がキュンとする思いでもあります。
今まで妻のガンスンに守られ美しいものばかりを詩に綴ってきたテッキが、“父になるという事実”、そして“セユンへの愛”と“セユンの置かれたツライ現実”に直面するわけです。
その時テッキは何を思うのか、いくつになっても、大人になるとは、成長するとはどういうことなのか…私たちは目の当たりにします。
特にラストは、本当に何気ないシーンなのですが、涙がポロっとこぼれました。
「生きるってこういうことか!ヤン・イクチュン凄い」って思わずつぶやいてしまいました。

ぽこんと出たお腹においしそうにドーナツを食べる姿、とっても可愛いんです、ヤン・イクチュン。
妻ガンスン役は、『名もなき野良犬の輪舞』の演技もすごかった実力派女優チョン・ヘジン。
自分の意見を主張できるしっかり者でも、結局世間に縛られている妻…韓国の強い女性らしい、迫真の演技でした。
セユン役は、新星チョン・ガラム。以前このコーナーでご紹介した『感染家族』では、キャベツ好きのゾンビ役でした。
セユン役は、まだ売れていない頃、オーディションで勝ち取りました。これからが楽しみな俳優さんです。

「悲しみを抱える人のために、代わりに泣くのが詩人なんだ」というセリフが心に響きます。
あの頃の私の想いは、哀しみは…今はどこにあるのだろう…自分の心と対話したくなりました。


『詩人の恋』

11月13日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国順次公開 

公式サイト:shijin.espace-sarou.com

監督・脚本:キム・ヤンヒ  
出演:ヤン・イクチュン、チョン・ヘジン、チョン・ガラム  
2017/韓国/韓国語/アメリカンビスタ/カラー/5.1ch/110分/ 原題:시인의 사랑/映倫:PG12  
日本語字幕:朴澤蓉子 配給・宣伝:エスパース・サロウ
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