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サンデー早起キネマ『朝が来る』

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毎週おススメの最新映画をご紹介している“サンデー早起キネマ”
10/25は、3つの国の名作を3本ご紹介しました。

最後3本目は日本。
辻村深月さんのあの感動のヒューマンミステリー小説が映画化されました。
河瀨直美監督作品
『朝が来る』

一度は子供を持つことを諦めた栗原夫妻は、“特別養子縁組”という制度を知り、男の子を迎えます。
それから6年。夫婦は“朝斗”と名付けた息子の成長を見守る幸せな毎日を送っていました。
ところがある日、朝斗の産みの母親“片倉ひかり”と名乗る女性から「子供を返してほしい。それがだめならお金を下さい」という電話がかかってきます。
当時14歳で朝斗を産んだひかりと栗原夫妻は、朝斗を引き取る時に一度だけ会っていますが、ひかりは心優しい女の子でした。
「彼女であるはずがない」…そんな中、訪ねてきた若い女性にあの日のひかりの面影はありません。
一体彼女は何者なのか?そして目的はなんなのか?

“特別養子縁組”=何らかの事情で生みの親が育てることができない子どもを、育ての親に託し、子どもと育ての親は戸籍上も実の親子となる制度です。
この作品の中に「親が子供を見つけるのではなく、子供が親を見つけるための制度」というようなセリフがあるのですが、まさしくその通りなんですよね。

子どもが欲しくても授からず苦悩の日々を送り、養子を迎えた栗原夫妻は、永作博美さんと井浦新さんが演じました。演じたというより栗原夫妻そのものでした。
河瀨監督の、いわゆる河瀨組では、“役作り”ではなく“役を積む”というそうなのですが、カメラが回っていないところでも、その役としての関係は続き、その役の人物として経験を積んで、カメラの前に立つのです。
だからこそ、ドキュメンタリー映画を観ているような感覚を覚えるのです。
(実際に、特別養子縁組をした方々も登場し生の声も聴くことができます。)

本気の恋の果てに子供を産み、育てられなかった片倉ひかり役は蒔田彩珠さん。
主演作『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』の時も思いましたが、彼女も役を積むタイプの女優さんです。

そして、絶賛したいのが、養子縁組を取り持つ“ベビーバトン”代表の浅見役を演じた浅田美代子さん!
説得力あるセリフとたたずまい…素晴らしかったの一言です。

子どもを望んでも授からないつらさ、そして迎えた養子との幸せな日々。
子どもを望んでいないのに授かったしまったつらさ、そして手放した後悔の日々。
血のつながりってなんだろう、家族ってなんだろう…人と人との関係が希薄になってしまったこんな世の中だからこそ、余計に沁みました。
そして『朝が来る』ってなんて素敵なタイトルなんだろうと、エンディングで改めて思いました。
希望の朝、優しい涙が頬を伝う…そんな経験ができます。

『朝が来る』

10月23日TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

公式サイト:http://asagakuru-movie.jp/

【出演】永作博美 井浦新 蒔田彩珠 浅田美代子
佐藤令旺 田中偉登/中島ひろ子 平原テツ 駒井蓮
山下リオ 森田想/堀内正美 山本浩司 三浦誠己 池津祥子 若葉竜也 青木崇高/利重剛

【原作】辻村深月 『朝が来る』(文春文庫) 【監督・脚本】河瀨直美  【共同脚本】髙橋泉

配給:キノフィルムズ

©2020「朝が来る」Film Partners

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