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サンデー早起キネマ『マーティン・エデン』

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毎週おススメの最新映画をご紹介している「サンデー早起キネマ」
9/20は、国もジャンルも全く違う3本。

まず1本目は、イタリアを舞台に一人の男の生きざまを描いた
『マーティン・エデン』

今年2月公開され、このコーナーでもご紹介したハリソン・フォード9年ぶりの単独主演作品『野生の呼び声』を覚えてらっしゃいますか?
あの偉大な冒険小説を書いたのは、アメリカの作家ジャック・ロンドン。
この作品『マーティン・エデン』は、そのジャック・ロンドンの自伝的小説「マーティン・イーデン」を映画化したものなのです。
労働階級出身で骨太の社会主義者でもあったジャック・ロンドンが、いかにして大作家になるというアメリカンドリームを叶えたのか…
舞台を、アメリカ・オークランドから自身の故郷・イタリア・ナポリに移して、イタリアらしい美しい彩りを添えて作り上げたのは、ピエトロ・マルチェッロ監督。20年前に出会いずっと映画化したいと思っていた小説をついに映像化しました。

イタリア・ナポリの労働者地区で生まれ育ったマーティン・エデンは、船乗りとしてその日暮らしを送っていました。
ある日、暴漢に絡まれていた両家の子息を助けたマーティンは、そのお礼に屋敷に招かれ、美しく教養溢れる令嬢・姉のエレナと出会います。
そして、彼女を取り巻くブルジョアの文化と教養の世界に強い憧れを抱くようになるのです。
エレナをきっかけに読書にのめりこみ、うちに秘めていた文学への関心に目覚めたマーティンは、彼女に「あなた方を目指したい。あなた方のように話し、考えたい」と打ち明けます。
彼女は「あなたに必要なのは教育、学校に行くべきだ」と諭しますが、生活が苦しく無学なマーティンには無理な話。
しかし、エレナへの愛と文学への情熱に突き動かされたマーティンは、強い意志と執念で過酷な境遇を乗り越え、作家への道を歩むことになるのですが…その先に待っていたものとは?

マーティン・エデンを演じたのは、見た目のカッコよさに確かな演技力を兼ね備えたルカ・マリネッリ。
いや、演じたというよりマーティン・エデンそのもの!彼がこの作品の一番の魅力です。
マーティンが文学に目覚め、独学でスポンジのようにすべてを吸収していく姿、変わっていく姿が素晴らしかったです。
表情も特に目つきがどんどん変わっていくんですよ。
こちらも目を離せず、マーティンに釘付け。
去年のベネチア国際映画祭では、「ジョーカー」のホアキン・フェニックスを抑えて見事男優賞に輝きました。

エレナに出会うまでは、欲望のままに生きてきた男が、自分を律し文学に打ち込んでいくその凄まじい情熱に圧倒されました。
労働者階級とエリートの間の隔たりという問題と愛と文学…いつの時代にもある普遍的な要素が詰まった本作。
人間社会に生きる私たちの中にマーティン・エデンは必ず存在しているのです。埋めようとしても埋められない孤独に気づいた時、私たちはどこに帰っていくのでしょうか?そんなことも考えさせられます。

文学に生き愛に生きようとした男の行く末を、是非見届けてください。


『マーティン・エデン』

9月よりシネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次公開

公式サイト:martineden-movie.com

監督・脚本:ピエトロ・マルチェッロ 脚本:マルリツィオ・ブラウッチ
原作:「マーティン・イーデン」ジャック・ロンドン(白水社刊)
出演:ルカ・マリネッリ、ジェシカ・クレッシー、デニーズ・サルディスコ、ヴィンチェンツォ・ネモラート、カルロ・チェッキ
2019年/イタリア=フランス=ドイツ/イタリア語・フランス語/129分/カラー・モノクロ/ビスタ/5.1CH
原題:Martin Eden 字幕:岡本太郎
後援:イタリア大使館、イタリア文化会館、在日フランス大使館、アンスティチュ・フランセ日本 配給:ミモザフィルムズ
©2019 AVVENTUROSA – IBC MOVIE- SHELLAC SUD -BR -ARTE      

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