番組でご紹介した作品をブログでも味わって頂く「サンデー早起キネマ」。
ついに番組の映画コーナーのタイトルも「サンデー早起キネマ」になりました!
今週最初にご紹介した作品は、夢と信念を共にした身分を超えた男同士の友情を描いた韓国映画
『世宗大王 星を追う者たち』
朝鮮文字ハングルを作った、朝鮮王朝第4代王・世宗。
韓国で一番尊敬されている人物ではないでしょうか?
そして、その偉大な王に人生を捧げた天才科学者チャン・ヨンシル、ふたりの物語です。
世宗が即位した1400年代、朝鮮王朝は中国の明の属国でした。
彼は、奴婢の身分だったチャン・ヨンシルの優れた才能を認め、武官に任命します。
豊富な科学知識と高い技術を持つヨンシルは、朝鮮初の標準時計、日時計の代わりに日没後も時が図れる「水時計」を発明。
さらには、星座の位置を正確に計測できる天体観測機器を作り出し、時差のある明の国の暦ではなく、朝鮮の気候にあった暦で農作業ができるようになり、悩まされてきたコメ不足も解消できました。
ヨンシルの発明品は庶民の生活に大いに役立ったのです。
一方で、明の従属国という立場から脱し朝鮮の自立を成し遂げたいという夢を持つ世宗も、庶民が誰でも読み書きができるよう朝鮮独自の文字ハングルを作ろうとしていました。
天と地ほどの身分の差を超え、特別な絆を結んでいく二人。
しかし、朝鮮の独立を許さない明からの攻撃を恐れた臣下たちは、密かに二人を引き離そうと画策します。
そしてある日、世宗が乗った輿の車輪が外れ大破する事故が発生!車輪に細工された跡が見つかります。
輿の製作責任者ヨンシルに疑いの目が向けられるのですが…。
この作品の一番の魅力は、俳優陣の素晴らしい演技。特にダブル主演のふたり。
世宗大王役は、韓国を代表する俳優の一人、ハン・ソッキュ。
先日「サンデー早起キネマ」でご紹介したばかりの『悪の偶像』も記憶に新しいですよね。
必要とあれば身分も関係なく登用する決断力と、既得権益に拘らないどころか忌避するようなところがある世宗大王ですが、品があり考え深い演技は、世宗役に本当にピッタリでした。
そして、チャン・ヨンシル役は、名優チェ・ミンシク。
スクリーンから溢れ出るほどのエネルギーと役になりきる力は他の追随を許さず、ソン・ガンホ、ソル・ギョングと共に、2000年代韓国映画界の忠武路トロイカ=3大スターとして演技力と人気は不動です。
個人的にはあまりにも衝撃的だった『悪魔を見た』の怪演が忘れられませんが、今回の役でやっと払拭できました。
素晴らしい演技でした。
当時日本でも大ヒットした名作『シュリ』以来、20年ぶりの共演です。
監督は、「四月の雪」「ラストプリンセス」のホ・ジノ。
ラブストーリーの得意な彼が迫った歴史上の謎の答えは、大きな愛だったのかもしれません。
韓国では、世宗もヨンシルも歴史で習いますし、ヨンシルの発明品は博物館に展示されています。
でも、ふたりの間にこんな素敵な絆があったとは!!
史実には書かれていない部分で、それはホ・ジノ監督の創作ではありますが、私たちに「きっとそうであってほしい」と思わせる素晴らしいストーリーでした。
作品の中で、星を見る場面が何回かあるのですが、あんな風に星空を見上げたことがあっただろうか…と、本当に素晴らしいシーンで心に沁みます。
国民みんなが、読み書きができ安心して暮らせる国にしたいと願う世宗大王と、その夢をかなえる手助けが自分の夢にもなったチャン・ヨンシル。
目線だけで気持ちがわかるほどお互いを理解していたふたりの絆、ふたりの思いが痛いほど伝わってくるラストシーンは、涙がぽろぽろ、止まりませんでした。
映画館の大きなスクリーンで、悠久の時を超え、ふたりと一緒に星を見上げてみませんか?
『世宗大王 星を追う者たち』
9月4日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
公式HP : hark3.com/sejong/
© 2020 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.
監督:ホ・ジノ
出演:ハン・ソッキュ、チェ・ミンシク、シン・グ、キム・ホンパ、ホ・ジュノ、キム・テウ
【2019 年/韓国/韓国語/133 分/スコープサイズ】
原題:천문:하늘에 묻는다 英題:Forbidden Dream 配給:ハーク
映倫区分 : G