番組でご紹介した作品をブログでも味わって頂く「サンデー早起キネマ」。
先週から番組のコーナーも「サンデー早起キネマ」になりました。
よろしくお願い致します。
今回ご紹介するのは、俳優の豊原功補さんと小泉今日子さんらが立ち上げた新世界合同会社の記念すべき第一作。
主演のふたりに恋してしまいました!
とっても切なくて苦しくて、でも優しくて愛おしい…
『ソワレ』
俳優を目指して上京するも結果が出ず、今ではオレオレ詐欺に加担して食い扶持を稼いでいる翔太。
ある夏の日、故郷・和歌山の海辺にある高齢者施設で演劇を教えることになった翔太は、そこで働く女の子タカラと出会います。
何かを諦めたような彼女の表情には、父親からの想像を絶する暴力が影を落としていたのです。
お祭りの日、一緒に行こうとタカラを誘いに来た翔太は、刑務所帰りの父親の激しい暴行を目撃!
衝動的に父親を刺してしまったタカラの手を取り、とっさに電車に飛び乗ったふたり。
こうして、目的地のない逃避行が始まりました。
事件が明るみになり警察の追手が迫る中、ふたりは“かくれんぼ”であり“駆け落ち”でもあるような逃避行を続けるのですが、次第に不安と疲労感に追い込まれ苛立ちが募り、やがて、決裂!
心の中では必要としているのになかなか近づけないふたり…逃避行の先にたどり着く未来とは?
翔太を演じたのは、毎回出演作で見せる違う面にグイグイ引き込まれる村上虹郎さん。
タカラを支える翔太の純粋さと純粋さ故の少年らしさ・子供っぽさも初々しく、今回も魅せられました。
そして、タカラ役は100人以上のオーディションを勝ち抜いた新星・芋生悠さん。
このふたりが本当に素晴らしく、目が離せませんでした。
芋生悠さんの“どうすることもできない諦めの中でも、もしかしたらという希望を捨てきれないような表情”が最高です!
大変な人生を背負ってきたのだけれど(背負ってきたからなのか)、すごく生命力を感じるんですよね。大地に根差したような…そこが、タカラにハマっているなと思いました。彼女の大きな魅力のひとつです。
監督はこの作品が長編2作目の外山文治さん。
オリジナル脚本で挑みました。
セリフを削って、2人の表情と和歌山の美しい風景、映像で描き出す手法が印象的でした。
まぶたに浮かぶ愛おしくて忘れられない場面が沢山あります。
“ソワレ”は、フランス語で夕方、日没後のこと。
劇場の夜公演もソワレです。
この作品を観終わった後、「ああ、だからこのタイトルなんだ」としみじみします。
あなたも、ふたりの逃避行の先を見届けてみませんか?
『ソワレ』
8月28日(金)よりテアトル新宿、テアトル梅田、シネ・リーブル神戸ほか全国公開
公式サイト:https://soiree-movie.jp/
© 2020ソワレフィルムパートナーズ