番組でご紹介した作品をブログでも味わって頂く「サンデー早起キネマ」。
先週から番組のコーナーも「サンデー早起キネマ」になりました。
よろしくお願い致します。
今回ご紹介するのは、イラク戦争を止めようとした勇気ある女性の苦悩と真実の物語
『オフィシャル・シークレット』
2001年9/11同時多発テロ事件が発生して以来、アメリカ政府はテロへの報復感情から「フセイン大統領が大量破壊兵器を開発している」と喧伝し、イラク戦争開戦に向けて画策していました。周知の事実です。
番組では、そのことを伝え続けたアメリカの記者たちの奮闘を描いた『記者たち 衝撃と畏怖の真実』も、去年取り上げました。
今回の作品の舞台は、イギリスです。
主人公は、アメリカと共同歩調をとるイギリスの諜報機関GCHQ(政府通信本部)で働くキャサリン。
ある日、アメリカの諜報機関NSA(国家安全保障局)からとんでもないメールが送られてきます。
「イラク侵攻を強行するため、国連安全保障理事会のメンバーを盗聴しろ」というものでした。
キャサリンは大量破壊兵器の根拠も見つからない中、イラクを攻撃するための違法な工作活動に強い怒りを感じ、そのメールをマスコミにリークします。
2週間後、その記事がオブザーバー紙の一面を飾り、GCHQでは、犯人探しが始まりました。
仕事仲間に迷惑がかかっていることに耐えきれなくなったキャサリンは「リークしたのは自分だ」と名乗り出ます。
しかし、彼女の決死の告発も虚しく、イラク戦争は開戦!
そして、キャサリンは、公務秘密法違反で起訴されてしまいます。
2004年2月25日、政府を相手に裁判が始まります。
が!誰もが予想できなかった驚きの結末が待っていたのです。
最期までドキドキハラハラのスリリングな展開です。
イラク開戦当時のブッシュ大統領やブレア首相のニュース映像もふんだんに使われ、キャサリンの苦悩と正義感に揺れる心情が臨場感たっぷりに伝わってきます。
その揺れる心情を見事に体現してくれたのは、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズでエリザベス・スワンを演じたキーラ・ナイトレイ。
そして、キャサリンを救おうと立ち上がる人権派弁護士役には、英国を代表する俳優の一人、「ハリーポッター」シリーズでヴォルデモート卿も演じたレイフ・ファインズ。
オブザーバー紙の記者には、テレビドラマや舞台でも活躍している注目のマット・スミスなど、この作品には欠かせない見ごたえのあるメンバーがそろいました。
「政府は変わる。私は国民に仕えている」というキャサリンに対し、検察側は「諜報機関に忠誠を誓った者は命令に従うべきだ」と言います。
あなたはどう思いますか?
国家とフェイクニュース、政府と忖度…“国益とは一体何なのか?”
規模や内容は違えど、どこの国でも、今現在も起きていることです。
過去の事実を描くこの作品が、現代に改めて一石を投じてくれました。
『オフィシャル・シークレット』
8月28日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
公式サイト:http://officialsecret-movie.com/
Photo by : Nick Wall © Official Secrets Holdings, LLC
監督:ギャヴィン・フッド(『アイ・イン・ザ・スカイ 世界一安全な戦場』)
キャスト:キーラ・ナイトレイ、マット・スミス、マシュー・グード AND レイフ・ファインズ
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
2018年/イギリス/カラー/ 英語/ 112分 / シネマスコープ / 5.1ch//字幕翻訳:加藤真由美