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サンデー早起キネマ『剣の舞 我が心の旋律』

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番組でご紹介した作品をブログでも味わって頂く「サンデー早起キネマ」

今回は、誰もが知っている名曲の誕生秘話をご紹介しましょう。

『剣の舞 我が心の旋律』

劇音楽で世界屈指の演奏回数を誇る勇壮な「剣の舞」は、日本でも運動会などでお馴染ですよね。
一度聴いたら忘れられないこの曲を一晩で書き上げたのは、ソビエトが誇る現代作曲家のアラム・ハチャトゥリアン。
現在のジョージアでアルメニア人として生まれ、モスクワとNYで作曲を学んだ天才です。

この物語の舞台は、1942年12月、第二次世界大戦下のソ連。
疎開中のキーロフ記念レニングラード国立オペラ・バレエ劇場は、コーカサス地方のアルメニアを舞台にしたバレエ「ガイーヌ」の初演を10日後に控え、リハーサルに集中していました。
しかし、アラムは、文化省の役人プシュコフから、この期に及んで“最後を締めくくる勇壮な踊りを追加せよ”と難題を命じられます。

作曲家を目指し共に学んだものの才能がなかったプシュコフは、アラムとの過去のトラブルを根に持ち、周囲を巻き込み、復讐の機会を虎視眈々と狙っていたのです。
時はソビエト連邦に大粛清の嵐が吹き荒れた数年後。
体制側の命令は絶対であり、失敗したら作曲家人生は終わりです。
作曲家としての意地とアルメニア人としての誇りを胸に、アラムはピアノに向かいます。
様々な感情が渦巻く中、鍵盤の上であるリズムが躍り始めました…♪

「うわぁ~、剣の舞のリズムだ!」名曲が生まれる瞬間に立ち会えた喜びに震えます。
たった一晩で書き上げたこの曲には、ものすごく深い思いが込められています。

両親の祖国アルメニアでトルコが残虐行為を行った事実。
それを世界が黙認したことがファシズムの誕生を許し、ユダヤ人虐殺につながっている現実。
アラムはこの曲にアルメニア人の怒りと悲しみを忍ばせつつ、プシュコフを圧倒する音楽を作り出したのです。まあ、プシュコフは実在の人物ではありませんが…
それでも、時の体制と闘い、命令されて一晩で書き上げた曲が、皮肉にも世界中で愛されるこの上ない名曲に仕上がったのです。
そして、今も私たちに、“世界で起きていることの傍観者であるな”と訴えてかけているようです。
世界中で愛される曲に込められた“民族の悲しみと世界平和への祈り”が今明らかになる!是非ご体感下さい。

『剣の舞 我が心の旋律』

7月31日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開

公式サイト:https://tsurugi-no-mai.com/

© 2018 Mars Media Entertainment, LLC, DMH STUDIO LLC

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