• Facebook
  • Twitter
  • LINE

サンデー早起キネマ『パブリック 図書館の奇跡』

  • LINEで送る

番組でご紹介した作品をブログでも味わって頂く「サンデー早起キネマ」

今回ご紹介するのは、ユーモアたっぷりにアメリカの現実を炙り出す
『パブリック 図書館の奇跡』



あなたは図書館を利用しますか?
私は、本を借りるのはもちろん、今ほどインターネットで簡単に何でも調べられなかった頃は、よく利用していました。
司書の方に質問すると丁寧に調べて下さったのを覚えています。
図書館は本を貸し出すだけではなく、いろんな業務があるのだなぁと感心したものです。
この作品は、そんな図書館の公共としての側面にスポットを当てています。
例えば、開館するのを玄関前で待っているホームレスの人たちは、化粧室で身支度を整え、新聞を読んだりインターネットで検索やメールをしたり、図書館で1日を過ごすのです。

監督は、1980年代『アウトサイダー』『セント・エルモス・ファイアー』『ブレックファスト・クラブ』などで一世を風靡したハリウッドの青春スターから監督に転身したエミリオ・エステベス。今回は、主役のスチュアート役も演じています。
ある公共図書館の元理事が、新聞に寄稿したエッセイにヒントを得て、11年の歳月を費やしこの作品を完成させました。

舞台はオハイオ州シンシナティの公共図書館。
ある日、まじめな図書館員スチュアートは、図書館の常連のホームレスから「今夜は帰らない。ここを占拠する」と告げられます。
シンシナティに記録的な大寒波が到来し、路上で凍死する人達が相次いでいるのに、市の緊急シェルターは満杯で、命の危機を感じた彼らはやむを得ず図書館占拠の暴挙に出たのです。
図書館のルールを守るべきか、およそ70人のホームレスの苦境を救うべきか…悩んだ挙句、スチュアートは、ホームレスに寄り添うことを決意。
図書館の3階に立てこもった彼らと一緒に、本棚や机や椅子で出入り口を封鎖します。

それは単に“寒さに凍えない代わりの避難場所を求める平和的なデモ”のハズでした。
しかし、市長選に出馬する予定の検察官がイメージアップのために偏った主張をしたり、事実とは違う予測だけのメディアのセンセーショナルな報道によって、なんとスチュアートは“危ない容疑者”に仕立て上げられてしまったのです。

やがて機動隊が出動。
追い詰められたスチュアートとホームレスたちは、突拍子もない衝撃の行動に出るのです!

過去に秘密がある図書館員のスチュアートを中心に、ホームレス、図書館の館長、交渉役の刑事と検察官、マスコミなど、それぞれの立場と思惑が見事に描き出されています。
貧富の格差は広がり、多くの社会的弱者が虐げられている今、スチュアートの、人としては当然でもなかなかできない勇気ある行動に、心の中で拍手喝采。

愉快痛快な最後のシーンには笑いがこみ上げ、彼らがとても愛おしくなりました。
そして、図書館ばかりでなく公共施設の在り方を考えさせられました。
公共施設は、何のために、誰のためにあるべきものなのか…災害が増え公共施設が重要視されている今、日本でもじっくり考えるべき問題です。

とてもチャーミングで知的で希望に満ちた感動作、是非劇場でスチュアートと忘れられない夜を過ごしてみませんか?

『パブリック 図書館の奇跡』

7/17(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開

公式サイト:longride.jp/public   
 #パブリック図書館の奇跡

製作・脚本・監督・主演:エミリオ・エステベス(『ボビー』『星の旅人たち』)
出演:アレック・ボールドウィン(『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』)、テイラー・シリング(「オレンジ・イズ・ニュー・ブラック」)、クリスチャン・スレイター(『トゥルー・ロマンス』Mr.Robot/ミスター・ロボット」)、ジェフリー・ライト(『007 カジノ・ロワイヤル』)、ジェナ・マローン(『ネオン・デーモン』)、マイケル・ケネス・ウィリアムズ(『それでも夜は明ける』)、チェ“ライムフェスト”スミス
2018年/アメリカ/英語/119分/スコープ/5.1ch/原題:The Public/日本語字幕:髙内朝子
提供:バップ、ロングライド 配給:ロングライド
© EL CAMINO LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ニッポン放送の番組一覧

他の番組を見る >